京都九条通から十条通に向かう途中にある、京都五山の一つである「東福寺」。臨済宗東福寺派の総本山になる。大きく静かなここのイメージも、さすがにこの時期は、紅葉を目的に多数の拝観者であふれかえっている。人、人、人の流れに沿っての拝観なので情緒はないが、通天橋から見下ろすその紅葉は見事だった。ちなみに通天橋を支える柱は、この多くの観光客の安全性を考えて、木から鉄柱に変えられたそうだ。

通天橋をゆっくり渡りきり、赤く染まった石段を降りて中庭に出ると、更に深い紅葉に囲まれる。そして今度は先程橋から見た紅葉を見上げる形になる。見る角度で趣が全く異なるところが紅葉の良さだろう。毎年同じ木でも全く違うらしい。夕日がさす時間帯に、日に透ける美しい赤や黄色を眺めて頂きたいものだ。そして落ち葉が赤い絨毯のようにそこらを占めて、小川の水面にも同じ有様は晩秋ならでは。
一方、東福寺の周りには隠居されている僧侶の家々が立ち並ぶが、その中でも塔頭の光明院は紅葉を含めた庭園が有名。東福寺とはうって変わって、人も少なく落ち着いた風情でほっとする。「虹の苔寺」と言われる。「波心(はしん)の庭」と言われ、美しい苔庭から見る紅葉はまた素晴らしい。縦にセッティングされた大きな石が計算配置されているのが印象的。
その後「泉湧寺」へ。東福寺からは東大通通を北上しすぐに右折。人ばかりの東福寺とは異なり、紅葉もまばらなひっそりとしたクールな雰囲気だ。皇室の菩提所となるなど、皇室との関わりも深く「御寺」とも称せられる。皇族の方々は京都に来られる際は、必ずこちらでお墓参り?をなされているらしい。
大門に行くまでもそうとうな距離を行くので、徒歩は厳しいと思う。それでも竹林の細いくねくね道をゆっくり歩く人は少なくない。大門すぐ左は「楊貴妃観音」があるが、これはご住職が中国に行かれた際の由来らしく、遠慮がちに入口あたり。大門をくぐり、仏殿・舎利殿までは緩やかな坂道が続く。その坂道が広々とすっきりして風情がありその景色に心安らぐ。

「仏殿」では三尊仏や天井の蟠龍、後壁の白衣観音を見ることができる。菩提所である「霊明殿」は荘厳な佇まい。神道が基本にある寺院だからか、他の寺院とは造りが少し異なる趣を感じる。
霊明殿の横には「御座所」。天皇・皇太子ら皇族が訪問した際にはここで休まれた後、霊明殿にお参りするという。実際に天皇がお座りになる「王座の間」も間近に見ることができる。御座所は、外の手入れされたイメージ程荘厳で華美という事はなく、どちらかと言うと古くて歴史的価値と言う言い方がよいだろうか? それでもやはり様々な襖絵は美しく見る価値がある。
庭は雪見灯籠などあるが、意外と雑然とした印象だった。奥にお堂があり、御所にあった仏間を移したものだそうだが、皇族方の御念持仏など数十体が収められているらしいが、基本神道であるので仏像は真っ暗な蔵に隠してあるという印象だった。
皇室の菩提所で、美しくこの静かな「泉湧寺」、意外に穴場な観光スポットなので、これからうっすら雪化粧の季節もいいのではないだろうか。