フィオーレ、初夏はカジュアルイタリアン

まずは、シェフの実家鹿児島産という「空豆のスープ」。濃厚な色合いだが口に含むと、爽やかに空豆の香りが広がる。暖かくなった初夏の陽気にぴったりのスープ。
続いて新作、「チーズのクレームブリュレ」。一見すると普通のクレームブリュレのようだが、生ハムにメロンのジュレが添えられている。口に生ハムを運ぶとメロンのジュレと一体となる。いわゆる定番の「生ハムとメロン」を思い起こさせる。最先端のフレンチによく見られる、定番の組み合わせを変化させた1品だが、メロンをジュレで再構成したところにシェフのセンスがうかがえる。隠し味のオレンジ風味が、後味をさらに立体的・複雑に仕上げている。
次は「馬肉のカルパッチョとホタテ」。肉の赤身とホタテの白さが美しくコントラストするプレート。ホタテの爽やかな香りが印象的。口に入れると、ホタテの甘汁とレモンが上手く重なって広がる。特に上質のホタテではないが、ホタテ特有のねっとりした甘味を、酸味がバランス良く引き立てる。
「タンポポのパルメザンチーズあえ」。大振りのタンポポがサクサク、タンポポの苦味とチーズのコクで調和されて美味しい広がり。季節を感じる楽しい一品、ワインにも合う。
柔らかく繊細に火を通した「ウズラ」には、緑鮮やかなアスパラソバージュの付け合せ。野生ならではのアスパラガスの香りが、繊細な肉質とぴったり。付け合せに無頓着なレストランが多い中、こちらは色々考えてる印象よね。ただ、ウリかもしれないけど何かとトリュフ多い。
小皿がテンポよく提供されるし完成度も高い。他には、「トマトのマリネとモッツアレラリーズ」・「チーズのリゾットと半熟卵」などが続き、今回はチーズがコース全体をつないでいた。
季節感をテーマでつなぐ、そして1皿の構成要素はシンプルにとどめ、素材の味わいを強調する点にシェフの高いセンスを感じる。ただ「盛り上がり」をどこに置くのかやや見えにくい。少量で多数皿、かつテンポが良いのでお腹的には満足だが、食べ終わった後の総合印象という意味では、どこにコースのポイントを置くのかもっと意識すると、更に完成度が上がるように思う(多数皿の懐石料理でも、椀物や焼きがポイントであるように)。
また、チーズやトリュフに頼り切らず、例えばパスタに重きをおくのも一つではないだろうか。こちらに限らず福岡のイタリアンでは、ラグー・トマト・オイル・クリーム、これらソースとのバランスを考え抜いたパスタになかなか出会えなくて悲しい。
狭い店内でやや窮屈だが、若いカップルや女性客が楽しそうに楽しんでいる。いつのまにか6年目を向かえ円熟期を向かえつつある。
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