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ウィンザーホテル洞爺「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」で大地の恵を味わう

livarot.gifザ・ウィンザーホテル洞爺」の11階レストランフロアに上がると、長く広い廊下が続いた先に「ミシェル・ブラス」はある。1999年にミシュラン三ツ星を獲得、初の支店としてこのホテルを選んだ。窓から見える景色はまるでフランスの南西部ライヨールを思わせるからだろうか。
0806bras ダイニングは床が木目、籐椅子もカジュアル感があるのだが、窓際に余裕を持ったテーブル配置。洞爺湖を見下ろしながらゆっくり流れる時間の中、他の客がいることも忘れ食事に集中できる。

 前菜はブラス・スペシャリテ「ガルグイユー」。50種類もの温野菜がバニラ風味でまとめあげられている。見た目にも本当に美しいプレートだ。野菜の苦味・風味・季節感が皿から立ち上る。日本のフレンチでは野菜は付け合せ、引き立て役というイメージがあるが、このプレートは野菜そのものの持つ力が主役になっている。様々なソースも少しずつ添えられており、立体的に味わうことができる。
 「鴨のフォワグラ」、ヘーゼルナッツの透明な薄皮にはさみこまれている。そのパリリとした食感と甘味が、フォワグラの旨みとハーモニーを醸し出す。久しぶりに満足できるフォワグラを味わった。
 「北海道産のグリーンアスパラガス」、ただのアスパラガスではない。「スパゲッティ」状にして、黒トリュフのヴィネグレットでまとめた1品。見た目・食感的にはパスタなんだが、噛み締めるとアスパラガス特有の繊維質が口の中に広がる仕掛けだ。その発想と表現力が素晴らしい。
 メインの肉は「シャラン産鴨の胸肉のロースト」。ゆっくりと火を入れた鴨肉はじっくりと火が入っている。人参フルーツのピューレとともに頂く。
 「発見と自然」という名の通り、北海道の自然の恵みをいかしながら新たな発見や食材に対する感謝の念を自然と感じさせるコースだった。

 ラギュオール製の重たいフォーク・ナイフ・スプーンがオリジナルのカトラリーに添えられている。「ブラスの出身地のラギュオールでは、一つのフォークを大事に使い続けます。そんなイメージで、今日はこのフォークをマイフォークとしてご利用ください」。そんなプレゼンテーションも華やかなフレンチのディナーに彩りを与えてくれる。
 どのサービスも、客の要望や視線を感じ取るとそれとなくテーブルに近づいてくれる。自然で優雅な接客も完璧だった。

0806bras2millefeuille.gifそうね、オリジナルの食器デザインも気に入ったけど、お料理合わせてメッセージやエピソードなどのお手紙を、そっとテーブルに置いてあるのには感動するわ。演出から味まで全てにおいて、ブラス氏がまるでそこにいるかのような気持ちになったの。
 そして、忘れてならないのがチーズの美味しいこと!種類もさることながら、専門のチーズ熟成士がいるだけでなく、さすが北海道?の気候もあるのでは。

 東京に様々な星付きシェフがレストランを出店し、毎年来日フェアーも行われる時代。例の事件もあったし、わざわざ北海道まで出かけて「ブラス」を味わう意義があるのか、そんな気持ちが少なからずあったのも事実だ。しかし洞爺湖の自然の中、北海道の食材をブラスの感性でまとめあげたフレンチは、気持ちに豊かさを与えてくれるものだった。
 「料理人は故郷に帰り、故郷の食材を使い、故郷のために料理しなさい」と言ったのはフェルナン・ポワンだが、東京一極集中ではなく、日本各地に各地の食材を活用したフレンチレストランが増えた時、フレンチが真に日本に根付いたといえるのではないか、そんなことを考えさせる一夜のディナーだった。

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