「パリの夕暮れ」ガラディナーパーティー トゥールダルジャン東京

今年は「日仏交流150周年」。それを記念してあちこちでイベントが行われているが、中でもこのパーティーは素晴らしかった。パリ・セーヌ川ほとりにある「La Tour d'argent」本店から、総料理長Patric Rayer、オーナーAndre Terril、シェフソムリエDavid Ridgwayが揃って来日!その他サービス陣も加えて「トゥール・ダルジャン東京」で盛大にガラ・ディナー・パーティーが催された。
いつものトゥール・ダルジャンにもまして華やかな空気が流れる。ウェイティングスペースのソファにゆっくり座り、シャンパーニュとフィンガーフード。常連客や著名人など限定された紳士淑女が、着飾って楽しげにパーティーの始まりを待つ。そしてホールの席に案内され、パーティーの幕が開くわ。
「日本人が朝日を愛するように、フランス人は暮れゆく夕日を愛します。一日の終わり、愛する人とともにワインを片手に過ごす時間を愛するメンタリティーでしょう」という若きオーナー、アンドレ・テライユ氏の流れるようなフランス語のスピーチ。まさにプリンスといった素敵なパリジャン♪
そのパリの夕焼けをモチーフにした、オレンジにライトアップされ美しく輝く迫力の氷オブジェ。氷の中には大輪のピンク薔薇がたくさん!各々がそれぞれのパリに思いをはせる中饗宴がスタートする。
まずは「ラングスティーヌのサラダ 洋梨包み 爽やかな酸味(Salada Langoustines royales en carapace de poires acidulees)」。洋梨とともにロメーヌ産のレタスがどさっと添えられている。酢漬けのイメージだろうか、サクッとかみしめると、かすかな酸味と優しい苦みを感じる。それをねっとりとした味わいのラングスティーヌとともに味わう趣向だ。ローラン・ペリエ グランシエクルの硬質な味わいの奥に隠された旨みとハーモニーを奏でる。
次に「平目のローズマリーと菩提樹のハーブ ポシェ デュグレソース(Turbot poche dans une infusion de tilleut et romarin sauce blanquettte a la Duglere)」。贅沢な大きさの平目は、じゅわっとほぐれるような柔らかさに仕上がっている。ポシェの特徴が綺麗に生かされている。
「アンリ・グージョ ニュイ・サン・ジョルジュ ラ・ペリエール 2004」に合わせて。ニュイで一般的な赤ではなく白ワイン、しかもシャルドネではない。「突然変異で育った白」という伝説が広まったワイン。複雑な骨格の中にもフルーティーな香りがあり、ローズマリーやハーブの香りとぴったりだった。
そして「フォワグラのトゥルヌドー 香りの饗宴 リュバルブとフイユの衣揚げ(Tournedos de foie gras aux cinq parfums rhubarbe fondue feuilles en tempura)」。厚みのあるフォワグラの表面にしっかりと火が入っているものの、中は適度にトロリとして分かりやすいおいしさだ。添えられたルバーブが含むじゅわっとした酸とフォワグラの甘み・脂・こくが一体となる。
「琥珀色のコンソメ マドリエンヌ(Consomme facon madrilene au vesigat beignet au lait de parmesan)」。チョウザメの骨髄とともにしっかりと煮詰められたコンソメは、このガラ・パーティー用にパトリック・レイヤー氏が作ったスペシャリテという。妻はこれが一番気に入ったようだ。
添えられたパルメザンチーズのコロッケは、口に中でパッとはじけてネットリしたチーズが広がる。濃厚なコンソメにさらに濃厚な味わいを重ねるところが、クラシックなフレンチらしい。コンソメを「飲む」というより牛のエキスを「すする」という感じでおもしろかった。クリスチャン氏曰く「醤油のようでしょ?」
メインは「幼鴨 パリの夕ぐれ(Caneton couche de soleil)」。トゥール・ダルジャンのスペシャリテの鴨は、備長炭で火を入れられている。わずかに感じる炭の香りが幼鴨のはかない旨みを引き出していた。これは「セラファン モレ・サン・ドニ・レ・ミランド」に合わせて。
ディナーもあっという間に4時間近くが経ち・・最後のイベント「ローラン・ペリエ アレクサンドラ ロゼ 1997」の開栓式。華やかにオーナーや支配人、ソムリエたちがボトルを持って行進して来る。お決まりのポーズで開栓、そして拍手の中、宴はピークを迎えた。
娘のアレクサンドラにちなんだこのロゼはなかなか手に入らない。特に1997年は市場にはほとんどないが、今回の為に特別にローラン・ペリエの協力を得たという。
パリの夕暮れにふさわしい上品なピンク色が、合わせてアレンジメントされた赤い花に映える。ほんのりとした甘みにローランペリエらしい硬質な酸、その奥から広がる芳醇な旨みがわかりやすく、しかし複雑に絡み合う。
これに合わせたデザート「フレッシュフルーツのミネストローネ シャンパーニュ風味のジュレとローズマリーのクーリ(Minestrone de fruits frais en gelee de champagne coulis de romarin)」。ローズマリーとレモンを泡立てたクーリの下には、シャンパーニュ風味のジュレとともにたくさんのフルーツが潜む。カクテルを飲むような、晩餐会のフィナーレにはふさわしい味わいだった。
総支配人であるクリスチャン・ボラー氏は「私の体の半分は日本人です」という言葉の通り日本語がとても流暢で日本文化に造形が深い。決して現代の先端をいくフレンチではないが、24年前から日本に本場のフレンチを伝え続けてきたレストランで、フランスと日本の交流の歴史を感じつつ、夕暮れのパリを感じる有意義なガラパーティーだった。
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