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キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ、二代と語らう至福の夜

livarot.gifフランスのリヨンから電車で1時間の街ロアンヌ。そこには1930年から続く「ラ・メゾン・トロワグロ」がある。3代目のミッシェル・トロワグロ氏は、ミシュラン3つ星を維持するとともにハイアットリージェンシー東京内「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」を出店し、東京ミシュランでも2つ星を取った(前回はこちら)。今回はミッシェル・トロワグロ氏の来日に合わせて再訪した。シェフの来日時はスタッフが総出で緊張感も漂っていて店内はとてもいい雰囲気だ。

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 アミューズは可愛く串刺しされているのはキャラメリゼされたプチトマト。口に含むとパッとかすかなゆずの酸味がはじける。ボール状にしたクスクスにも、レモンの酸味のアクセント。食欲を刺激するだけではなく食べての感性も刺激するアミューズだ。これは「テタンジェ ロゼ(Taittinger Rose)」とともに頂く。
 続いて「ムール貝・あさり・つぶ貝のスープ仕立て」、スープは蛤のジュとかすかな蛤のジュレ。初秋とはいえまだまだ暑いなかとても胃に優しい味わいだ。ほのかな酸味はキンカンビネガーだ。シェフが大分で見つけて以来使用しているものだという。

 「新鮮な鱸のエマンセ セロリとウニ」。赤タマネギで色づけされたピンク色の薄いジュレが敷き詰められ、その上に軽くマリネされた細切りの鱸とウニが美しく鎮座する。味わいのベースはやはりビネガーだが、軽く振られている岩塩が、カリッとした食感とともに味わいの骨格を形取る。トロワグロの料理の特徴は、絵画のように美しいプレートはもとより多用な酸味の使い方だろう。

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 「あんこうのロティ パセリオイル 新鮮なジロルとアンチョビ」。シンプルなロティだが絶妙な加減で火が入り、ナイフに適度な弾力を感じるジューシーな身。水分が多く脂肪分が少ないという鮟鱇の身の特徴を生かしお肉のように仕上げている。そのためかソースは仔牛のジュを持ってくるところがおもしろい。そのソース自体はパセリのオイルも添えられ非常に軽いのだが、添えられたジロール茸とアンチョビの塩気、鮟鱇の下に敷かれた白ワインビネガーで味付けされたエシャロットの甘みが、バランスよく淡泊な白身の味わいを深める。

 「アカザ海老のポワレ ココナッツミルクとグレープフルーツ」。今まで頂いた中で1、2を争う大きさのラングスティーヌ。しかし大味ではない。ラングスティーヌのつややかで繊細な甘みにココナッツミルクのエスニックな甘み、そしてグレープフルーツの酸味の調和を楽しむ趣向だ。これは「ルイ・ラトゥール ピュリニィ・モンラッシェ(Louis Latour Puligny Montrachet)」を合わせて頂く。

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 「仔鳩のロティ 甲殻類とスパイシーなナス 赤い小さな果実の香り」。仔鳩は甲殻類のソースとともに味わう。胸肉は特徴の柔らかい鉄分を生かしつつロティされている。腿肉にはドライレーズン、松の実がファルスされヴァプールされている。山のものと海のものを合わせる発想もおもしろい。
 フォン・ド・オマールは見た目は濃厚だが、グロゼイユとカシスをくわえ漉されているため、酸味が感じられむしろ軽くて柔らかい。余韻はとても長く見事な旨みのハーモニーを奏でていた。ソースの上にフレッシュのグロゼイユとカシスをのせ、コンフィしたレモンで飾るところもにくい演出だ。

 デキャンタージュしていた「コント・ジョルジュ・ドゥ・ヴォギュエ ミュジニィ(Comte George de Vogue Musigny) 2000年」もそろそろ開いてきた頃、ミッシェル・トロワグロ氏がテーブルに笑顔で来られた。料理以外の話でも盛り上がって楽しく会話させて頂く。そして驚いた事にミッシェル氏の父、ピエール・トロワグロ氏も登場!「あなたまで来日されているとはサプライズですね!」と伝えると、ニヤリとチャーミングに笑った。

 ミッシェル・トロワグロ氏が初来日した40年前。それは父ピエールとポール・ボキューズ氏が、辻静雄氏から京都に招かれた時に同行したものだった。40年の時を経て今度は息子に同行して来日する父。そんな家族の絆こそが「トロワグロ」の伝統と強みなのかもしれない。

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