GWの5月3・4日と言えば、日本中から最も多くの人が集まる(約200万人)福岡市民のお祭がある。地元人はこの「博多どんたく」を迎えると、そろそろ夏がやってくる・・・と思うの。福岡のホテルと言えば「グランドハイアット」「オークラ」「ニューオータニ」「日航」かな、他は地場の小さめ古いホテルといった感じで、食事で使う事もあまりないわ。
中でも「ホテル日航福岡」のテーマレストラン「レ・セレブリテ」は、アイボリーとオレンジを基調にした、開放的で夏向きのバカンスチックなレストラン。この季節から気分に合うわ。
いつもの原部ソムリエの優しいサービスに心癒される気分。この日はアンリオ(Henrio)のフェアをやっていたけど、私も好きなキュヴェ・ルイーズ(Cuvee Louise Pommery)1998を主人がチョイス。

まずは「活オマール海老のジュレ カリフラワーのムースに唐津産の活雲丹を添えて」。カリフラワーのムース・甲殻類ジュレ・キャビアと来ると、いわゆる「ロブション」のスペシャリテを思い出す黄金律。ややジュレが水っぽい感じもしたが、上質な雲丹の苦みと甘みがアクセントでおいしく頂く。クミンのスティックも効いている。
次は「軽く仕上げたスモークサーモンのクレープ・パルマンティエ オシェトラキャビアと共に」。ジャガイモのクレープの下には、小さく切られたサーモンが敷かれていて、クレープの上には、サワークリームとキャビアが乗せられている。キャビアにサワークリームとパンケーキは基本的な前菜だが、そこに上品にスモークしたサーモンを合わせてきたところが面白い。上品で旨みにあふれながら硬質なミネラル感の強いキュヴェ・ルイーズに良く合った。
季節らしい「ホワイトアスパラガスとフォワグラのポワレ モリーユ茸のエッセンスで」。フランス産フォワグラの濃厚な脂に、ペルー産アスパラガスの柔らかい甘みをまとわせて頂く1品。モリーユ茸特有の深みのある味わいが「いかにもフレンチ」という気分にさせてくれる。そういえばモリーユとアスパラガスの相性の良さも「ロブション」が強調しているところだ。フォワグラの厚みもそこそこあり、また火加減もちょうど良い。
聞くところによると、この日料理しているスーシェフ(森田氏)は、南仏で1年ほど修行していたという。なるほどフレンチテイストがきちんと表現されている。
「帆立貝と糸島塩豚のリゾット 山菜のベニエをアクセントに」。大ぶりでジューシーな帆立貝の存在感、糸島塩豚の塩、山菜の苦みと甘みがハーモニーを奏でるリゾット。
そして「鱗を香ばしく焼いた地物甘鯛を松尾農園自然農春野菜のポトフに浮かべて」。ポトフを利用した魚は、ココで頂くが上品でおいしい。文字通り、表面がバリバリと音を立てる甘鯛の香ばしさ、野菜もフランス産ほどの力強さはないがフレッシュで生き生きとしていて食べ応えある一品。
今年このホテルは開業20周年を迎え、記念企画として開業年の「1989年産ワイン」を28種を取り揃えたフェアーが開催されている。その中から選んだのは、これまた妻のお気に入りのムートン(Mouton Rothschild)1989。
そうなると、メインはやっぱり牛ではなく「子羊のロースト そのジュにフレッシュハーブと春の息吹に包まれて」。オーストラリア産の子羊のキャレ、そしてジャガイモでまとった子羊肉を合わせて頂く。肉質はさほどでもないが、添えられた野菜のエッセンス、粒胡椒のカリリとしたアクセントが口の中で爽やかさを表現し、軽いジュとともに洗練された仕上がりだ。
何本か飲んだムートン89だが、この日の一本は保存状態も良く、熟成しくぐもった腐葉土の香りが上品、しかもその熟成感を飲み手に強要しないエレガンスさも持ち合わせている。30分もすると開いてきて、かえってはつらつとした力強さ、スパイシーな香りが広がってきた。
この日は、去年「洞爺湖サミット」でも供されたというあの「さくら」を頂く。海外からの評価が高い季節限定のこのチーズは、酵母で発酵させたソフトタイプ。とろける中に感じる塩漬け桜葉の風味が不思議な味わい。普通に桜餅を思い出す、日本酒ででも頂きたいわ(笑) 去年現地で食せなかった事を残念に思う。
メニューを見ながら料理を想像する時の心躍る気持ちがフレンチでは何より楽しい。その意味で、本日のメニュー構成は、素材の組み合わせの基本を守りつつアレンジを加え、しかも爽春を感じさせるもので素晴らしかった。
東京など大都市に一局集中している日本のフレンチ。フランスのように地方からも発信できるようになってこそ、フレンチが「日本」に根付いたといえる。その為にも、ホテルなど組織のキッチリしたところが、どんどんシェフをフランス研修に出すなど、地方にもきちんとしたフレンチ文化を根付かせて欲しいものだ。