バロンオークラ、洗練フレンチでワインも喜ぶ

今年の1月にご紹介した、ホテルオークラ福岡「バロンオークラ ワインダイニング」野原敦料理長のFFCCフランス料理コンクール準優勝とメドック賞に続き、今回は坂本和馬シェフも「ホテルオークラグループ フランス料理コンクール」で準優勝した。
赤から爽やかなブルーに基本色が変わったテーブルコーディネート、技術に裏付けされた美味しい初夏のメニューを堪能しに再訪した。
「フランス地方料理とワイン」と題されたコースには、グラスでロゼシャンパンが付いていたが、せっかくなのでフルで「クリュッグ」にする。
華やかな芸術的プレートが運ばれて来ると、思わずため息がもれる。白いシンプルな皿に浮かぶ、鮮やかな赤い花びらのようなクーリはイチゴベース。それにシャンパンゴールドと緑というコントラスト。トマトのムースやイチゴのピンクがバランス良い。まるでフランス・シャンパーニュ地区の野に浮かぶ小山・畑・そして小川をイメージさせる。
イチゴに紅芯大根と海老、上に覆うのは円形スケルトンのシャンパーニュ・ゼリーという凝ったコンポジション。一口で食べるとこの絶妙な味と歯ざわりに感心させられる。妻は「シャンパンのつまみにいくつも食べたい」と言っていた。まさにロゼシャンパーニュに合わせた素晴らしい前菜だった。
「冷製ホワイトアスパラガスのヴルーテ」。ピスタチオオイルを点々とその表面に描いたホワイトアスパラガスのスープは、ビシソワーズをより洗練させた感じだ。とても柔らかく優しいスーッと伸びる味わいに、ピスタチオのかすかな風味がアクセント。初夏を思わせる。
美しく「ズッキーニをまとったスズキ」はふっくらで、ソース・シャンパーニュのまろやかさで品良く仕上がっている。添えられた花ズッキーニにはリゾットが包まれている。カリリと揚げられたパルメザンチーズが、イタリアンのリゾットを思い出して楽しい。
そして「子羊とフォワグラのパイ包み」。子羊の香りとフォワグラの脂を吸ったパイが、シットリした食感で旨味も抜群だ。付け合せのニンジンのピューレ、チーズを纏ったカリフラワーの柔らかい甘味と塩気が、ハーモニーを奏でる。子羊・フォワグラ・パイとくると重そうだが、とても軽やかな現代的フレンチで技術の高さを感じる。
それに合わせたワインは、赤紫枠の中に可愛い羊デザインが印象的なラベルの「シャトー・ムートン・ロートシルト 1988」。飲み頃を迎えつつあるようで最近続けて飲んでいる。妻もお気に入りの1本に満足な様子。
果実のエキスを凝縮したような柔らかく上品な香り。ムートン特徴の樽香は熟成により溶け込みつつある。しかし30分して開いてくるとまだまだスパイシーでタンニンも健在だ。時間が経つほど若返ってくる感じだろうか。力強い余韻の長さにも圧倒される。そんな強さをみて、子羊のソースは甘さを抑えてやや強めに調整してくれたそうで、まさにピッタリ。久保田ソムリエの工夫と野原シェフらの応用だが素晴らしかった。
対外コンクールだけではなく対内コンクールなどで、若手のモチベーションを維持し、研鑽を続けられるシステムを用意しておくことは、特に地方では大事だろう。ここ博多のバロンオークラでは、今、福岡で一番洗練されたモダンフレンチを食べることができる。次の季節も楽しみだ。
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