博多寿司、華やかな「やま中」 de デート

あの著名な磯崎新が設計したその建物は、相変わらず開放感にあふれ、エンターテイメントな雰囲気を醸し出している。札幌のすし善本店の古風な店構えも良かったが、近代建築の寿司屋としては、ここ博多の「やま中」が全国でも指折りだろう。
福岡のお鮨屋では珍しい、この華やかな雰囲気が好き。大将を真ん中に、多くの若い職人が並ぶ勢いあるカウンター。ネタケースからはみ出すように食材が溢れているわ(以前ほどではないけどね)。赤壁に映えるそのカウンターの上、「やま中」トレードマーク?とも言える特注長提灯が・・・、やや古びれて見えたのは私だけ? 以前は頻繁に張替えもしているということだったけど、こんなご時勢・・変わったのかもしれないわ。
相変わらず働き者の女性スタッフ陣、おしぼりは一体何度交換してく下さった事か。服が汚れないようにナフキンを膝において下さるのも嬉しい心遣い。
いつものようにお任せでつまみから頂く。刺身は、平目の縁側、中トロにアラ。150キロものというアラは、なかなかの脂の乗り具合。鳥取沖で取られたという鮪もこの時期にしてはまずまずだろう。
ウニは出汁の中に浮かべてあり、甘みと旨みをともに味わう趣向で、冷酒「黒龍」とぴったりだ。鱈の白子揚げ、刺身・冷酒でやや冷えた体にホクホクの揚げ物が嬉しい。鱈の白子は、フグのそれとはやや異なる繊細で、かすかに舌の奥で感じる苦みがまたいい。
そして「やま中」らしいつまみ盛り。美しい半透明の大きめの器にハモ・蒸し鮑・バチコ・唐墨に薄切りの大根などが添えられている。酒好きには堪えられないつまみ一式だ。つまみの最後には玄界の大ぶりのカニ。カニ特有の甘みをカニ酢で堪能する。もはやお腹は一杯で、この後握りを食べることを忘れそうだ。
お好みで、甘鯛昆布締め・中トロ・アラ・赤貝・穴子など・・を頂く。うっすら色づいたシャリは、塩気と酸味のバランスも良くうまみを感じさせる。
しかし相変わらずだが、つまみの形、バランスともに好みではない。俵型の小さめのシャリに大ぶりのネタが乗るので、口の中でのほどけ具合があまり良くない。サービス精神があふれているのは分かるが、好みは分かれてしまうだろう。
「江戸前寿司」しか食べて付けていない人には不満が残るだろうが、「博多寿司」でははずせない寿司屋。家族でもデートでも使えるが、連れ人をチョイスし、雰囲気と会話を楽しめる人と共に味わいたいお店だ。値段は食べる量によってかなり幅があるので、あらかじめ予約時に伝えておくといい。
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