福岡フレンチを引っ張る「ジョルジュ・マルソー」の気合
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福岡城跡を横に緑豊かな大手門の一角、フレンチレストラン「ジョルジュ・マルソー(Georges Marceau)」は今月で5周年を迎えた。平日だがオシャレをした夫婦やカップル、家族や団体と盛況だ。福岡でもこうしてフレンチを楽しむ人たちが増えてきたのは喜ばしいことだ。
「福岡フレンチ」のレベル向上に、ここ「ジョルジュ・マルソー」の果たした役割は大きいだろう。東京のように世界に伍するレベルのフレンチを、競争社会の中で維持するのも大変だが、楽をしようと思えばいくらでも楽をできる地方で、それなりのレベルのフレンチを維持するのも、別の大変さがあることは想像に難くない。
食器類も定期的にデザインなど変える。リンゴの花をモチーフにした真新しい皿に乗ったアミューズは、今朝届いたばかりというあの宮崎県の竹島英俊氏の、日本唯一のカゼイフィーチョ(水牛のモッツァレラチーズ)をいかしたもの。ふわふわながら濃厚な風味だ。「ローラン・ペリエのグラン・シエクル」で乾杯する。
涼しげなガラス皿に鮑の肝のソースが敷かれ、唐津産アカアシエビが添えられた岩牡蠣はびっくりする位の大きさ。オマールのジュレで薄っすらコーティングされている。柔らかい風味、牡蠣のクリーミーな味わい、肝の香りが調和する。「グラン・シエクル」のミネラル感豊富で旨みにあふれた酒質にぴったり合う。とても夏らしい爽やかな、しかしフレンチらしいセンスの感じられる前菜だった。
ボルドー産ホワイトアスパラガスの冷製スープは、コンソメのジュレが浮かんでいる。スープの柔らかい香りと旨みに、ホワイトアスパラガス自体のシャキシャキとした繊維質が、立体的な味わいを創造している。これもまた爽やかだ。
赤ワインは、DRC ヴォーヌ・ロマネ プルミエクリュ「キュベ デュヴォー・ブロシェ」をチョイス。最初の香りは薔薇、フワーッとほんのり甘いローズウォーターの香りがテーブルに漂う。2002年だがアタックはとても柔らかで料理に合わせて十分楽しめる。30分するとジャムの香り、1時間してもスーッといつまでも細く嫌味のない余韻が長い。バラ園にいるような静かな香り・・品の良いほのかな色気と口当たりの柔らかい味わいが、夏のフレンチの楽しさを増幅してくれた。
そして「ジョルジュ・マルソー」の魚と言えばブイヤベース風だ。ポワレにした唐津産甘鯛に唐津産のウニなど魚介をたっぷり乗せた味わいはさすがだ。アスパラソバージュも良く合う。
前菜の繊細な薄味からやや塩気を感じる。お勧めの食材を確認しながらアラカルトでお願いしたのだが、各プレートにメリハリが効いていて素晴らしい。薄味だけの一辺倒や強い塩気だけの一辺倒ではつまらない。フレンチだからこそ、メリハリある緩急にシェフのセンスが生きると思う。
フランス・バンデ産の鴨は黒オリーブのソースで頂く。相変わらずの肉厚で豪快だが、またこの日は鴨の肉質が特に素晴らしい。皮と肉の間の脂の香り、そして歯応えを残しつつも柔らかい肉質の火の入れ具合も完璧だった。また黒オリーブの加減が鴨肉の旨みを的確に引き出し、適度な白トリュフの香りもアクセントになって飽きさせない。
小西シェフはその旺盛なサービス精神から、良い食材が入ると前菜と主菜の付け合せが重複することがあるが、この日は重複なくバランスの良い構成だった。
残ったワインでチーズを楽しむ。妻の好きなシェーブルが数種類あり、保存状態も良くおいしく頂けた。デザートは宮崎産甘夏のミルフィーユ仕立て、これも美味しかったが、デザート用に残しておいた「グラン・シエクル」にはメロンのデザートがピッタリだった。桜坂にパティスリーも出しているジョルジュ・マルソーだが、レストランではまた違った豪快なデザートが楽しめる。
今夜もまた満腹満足な小西晃治シェフの料理を満喫し、ライトアップされた福岡城を眺めつつ、初夏の爽やかな夜道を帰る。これからの季節、大濠公園も近いここ大手門界隈は花火大会などで賑やかになる。福岡の厳しい夏の暑さには、「ジョルジュ・マルソー」の上質の食材を爽やかに生かした、しかし迫力も兼ね備えたフレンチが良く似合う。
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