「ジョエル・ロブション」、最新夏フレンチとワインのマリアージュとは(後半)

前回に続き「ガストロノミー ジョエル・ロブション」。メインの肉は特別に差し替えてもらった「ブレス産のピジョン」。ポシェしてからローストしたピジョンは、表面にはしっかりと火が入っているのの、中はロゼに仕上がりシットリした鳩の肉質が上手に表現されている。添えられたレモン風味のデーツ、人参のグラッセが味わいのアクセント。
そしてやはりスパイス、クミンの香りが効いて立体的な印象を与え最後まで飽きることなく頂けた。
そこで赤ワインは、このピジョンに合わせて「DRCのロマネサンヴィヴァン(DRC Romanee St. Vivant)1989年」。その繊細だが豊かな果実実、そしてまだ溶け込みきれていないタンニンの形取る優雅な味わいとともに楽しんだ。
アジアンテイストのオリエンタルな味わい。様々なスパイスが変幻自在に使われていて食べ手を飽きさせない。和のテイスト、つまり「日本で食べるフレンチ」を十分意識しつつも、最後はフレンチに着地する。
例えば、肉の後に出される温野菜は、モロッコ産のオイル(アルガンオイル)が香るクスクスと共に味わう工夫がされていた。器も美しく個性的で遊び心がある。
メインのデザート2種類の後に登場するデザートワゴン、ロオジェでもそうだったが満腹なのに改めて喜ぶ妻(笑) サービスの演出として、パンやチーズも同様、豪華にワゴンで運ばれて来るのはやっぱり楽しい。種類も豊富で選ぶ贅沢さを味わえるのもフレンチらしい良さだ。
総評として、「今日のフレンチは○○をしっかり食べた」という印象は残らず、やや散漫で複雑な印象が残るのは否定しがたい。しかも様々な前菜が四方八方から供されるので、ワインもボトルで頼むと全体としてはずれが生じてしまい、「料理とのワインのハーモニー」というフレンチの一つの醍醐味が楽しめないという欠点がある。
もちろんその欠点を知り尽くしているのだろう。120mlの白ワイン3種類、赤ワイン3種類が用意されているのだが、ワイン好きには余り触手が動かない。
例えば、赤は「サンテミリオンのシャトールシア 2004」が4800円。評価が高い新進気鋭のワインとはいえ、ボトル5000~6000円だから6掛け(!)だし、ロブションまで来て、家飲ワインは注文したくない客も少なくないのではないだろうか。
余りワインの出ない日本のフレンチレストランでの苦肉の策も理解できるし、プレートとの相性を考えているソムリエの工夫も評価できる。
だがミシュラン3つ星である以上、「料理と『極上のワイン』とのハーモニー」という選択肢も用意して欲しい。例えば「1プレートに1グラスずつ、グレードの高いワインを合わせたワインコース」を用意する位の工夫があっても面白いかもしれない。
逆にいうと、ワインではなくミネラルウォーター、そう例えば少し硬質でキリリと冷えたミネラルウォーターだけで通してもいいな・・と思えるほど「じっくり料理を味わいたくなるコース」という事も出来るのかもしれない。
ゴージャスな空間できちんとツボを押さえたサービスだからこそ、3時間程楽しむことができた。ユーモア溢れる仏人マネージャーが車まで見送る雨の中、妻と共にそれなりの満足感で「マンダリンオリエンタル東京」へと戻った。
楽しい晩餐の気分残る翌朝、ロブションからお土産に頂いた、いつものオレンジブリオッシュを、ルームサービスのカフェラテで美味しく頂く。
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