宮島・厳島神社、平安雅な平家栄華を想ふ

「祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・」
私の大好きな「平家物語」、教科書にも出ている有名な冒頭ね。平家終焉の地である下関・壇之浦の赤間神宮は、福岡から程近い事もあり度々訪れるが、平家栄華を顕す広島・宮島の厳島神社にはなかなか行く機会には恵まれない。今回たまたまの都合で宮島再訪が叶い、久方ぶりに海に浮かぶ厳島神社に詣でる事になった。
宮島に行く事を第一に広島市内滞在を決めたので、宿泊先は今年で15周年の「グランドプリンスホテル広島」にする。海に面したこのホテルからは、宮島行きの豪華?高速フェリーが出ている。
ロビー入ると昔風な噴水に虹色照明が印象的、いわゆるファミリー感覚満載のリゾートホテル。チェックインを済ませ、早速海側に突き出た107m2のスイートルームに向かうわ。
遅い時間のチェックインだったからかもしれないが、ポーターの女の子も無愛想だし部屋説明もイマイチ(自分で照明をつけたのは初めてね)。ルームサービスも充実していなく、氷はフロア廊下に製氷機があるとの事・・。
その窓に囲まれたスイート、ただ広いだけというか、昭和臭ぷんぷんのインテリアで設備も旧式、全てがレトロな感じ。夜は真っ暗な海が目前に広がりひたすら黒い感じ。翌朝も残念ながら霧で景色は全く見えない。あー、無事宮島に行く事ができるかしら・・と不安に思う展開。
宮島に行くルートはいくつもあり、それぞれに違うフェリーが運行しているが、このプリンスホテルから出るフェリーは2階建てで、1階前方にはクルーザー風広々ソファスペースがある。平日はゆっくり穴場的で、帰りは貸し切り状態の26分だったわ。船を待つ間にお天気になり始め霧も取れてきた様子にほっとする。
宮島に上陸して、まず観光タクシーで向かうは和と唐が調和した朱塗りの五重塔。そこから見る厳島神社の後ろ姿がまた素晴らしいの。華やかな寝殿造り、創建は593年と言うから1400年以上の歴史になる、スゴイ。
その荘厳たる佇まいを見るにつけ、思い出さずにいられないのは平家物語の巻第四「厳島御幸」。いわゆる平家栄華のピークとも言える巻で、平清盛の孫がわずか3歳で天皇に即位し、前高倉天皇を連れてはるばる宮島に御幸参りすると言う話。かつての平家一門の繁栄を象徴する、平安雅な素晴らしい世界歴史遺産である事が実感できるわ。
幅4mの床板、隙間にヒールが入るのでゆっくり主人に手を引かれて歩く。美しい青い海と緑豊かな山に浮かぶ朱い回廊、まるで竜宮城ね。社殿前の海面にそびえてる大鳥居、自然の重みだけで立っているなんて神秘。なんて見事な景色なんだろうと、ただただ見とれる。
そう言えば旧暦6月17日、つまり今年は今日の8月7日。夕方から厳島神社を中心に「管絃祭」が行われるわ。
平清盛が、都貴族の「管絃の遊び」を模して「神事」としたのが始まりと言うこのお祭、管絃を演奏しながら地御前神社や長浜神社・大元神社と順次船で回るという大掛かりなもの。この優雅な平安絵巻を見に多くの観光客が訪れるわ。
その他春には桃花祭・秋に菊花祭と、「高舞台」では舞楽が奉納される。こちらは毛利元就の「厳島合戦の詫び」が始まりだそうだが、「管絃祭」同様さぞこの景色で見る能・狂言は素晴らしいに違いない。
日本美術で、飛鳥時代のエキゾチックさも好きだが、総評的には平安時代の豪華さに惹かれる。前にも「風神雷神」で述べたが、「俵屋宗達」芸術の方向を決定づけたのが、若い頃に携わった「平家納経」の補修と言われているの。
平家納経とは、平清盛が厳島神社に奉納した装飾経巻の事。当時の貴族文化の総力あげて作られたかなり豪華なもの、今では国宝。朱回廊出てすぐ「宝物館」で公開されているのがレプリカで残念だが、金銀輝く平家の豪華絢爛さは伝わると思うわ。
さて、厳島神社から出て宮島内をぐるっと回る。運転手さんのドライブテクニックに感動してしまう急な坂上にある「大聖院」に向かう。天皇皇后両陛下をはじめチベットのダライラマ、朝青龍・白鵬も来たという格式あるお寺。本物のチベットの仏像と砂曼陀羅は必見、とってもカラフルで神秘的。
厳島神社の裏手、霊峰・弥山麓にあるこの大聖院は、宮島全体の僧を束ね、厳島神社の祭祀をつかさどってきた・・というだけあって権力を感じる風情。ちょうど今月10日は、こちらの十一面観世音菩薩の大祭があるそうだが、お参りすると「四万八千日分の功徳を頂ける」そう。
その後は山を降りて海岸線沿い、海と土の香りが清々しく桜の名所でもあるその山道。鹿の親子がゆっくりのんびり過ごす様に癒されるわ。もみじ谷は美しく繁る新緑と川のせせらぎ。きっと秋は紅葉で全体が真っ赤になるに違いない。
散策しなきゃと町の中を歩いてみる。すると名物もみじ饅頭の店があちこち。そこでチェリーちゃんリクエストの、世界にここしかない「キティちゃんのもみじ饅頭」を探す。若い外国人観光客が数人、招き猫キティと記念撮影してる・・・ここだわ♪と無事キティもみじ饅頭をゲット、確かに可愛い。
そうこう宮島を満喫しているうちに、潮がひいてきて大鳥居の足が見えてきたわ。人が海に流れて行く、歩いて行くわ。あー、ここはまるでモンサンミッシェル?・・・と思いつつ、名残惜しみながらフェリーに乗り込み島を後にする。
お盆の14日には宮島水中花火大会がある、ライトアップされた厳島神社はさぞ幻想的であろう。霧の向こうに見えなくなる宮島の影、またいつか来れる事を願わずにはいられない美しい島だった。
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