ワインラバー、秋の夜長はじっくり家ワインを楽しむ
年中ワインを飲んでいても「秋はワインの季節」なのである。最近飲んで記憶に残ったワインを一部ザッと羅列しておく。「シャトー・レオヴィル・ラスカーズ 1983年」。10年ほど自宅セラー室で寝かしていたもの。華麗な酸味にふくよかなタンニンがバランスよく収斂していく。余韻も長くフワーと上品な香りを口の中に残してくれる。自分の手元でじっくりと熟成してくれた、いわば自分と同じ時を刻んでくれたワインには、何かしら感謝するような気持ちになる。
「シャンパーニュ・バロン・ド・ロートシルト」。ロスチャイルドファミリーが結束して出したシャンパーニュは2009年が初リリースだ。ロスチャイルド家の紋章を誇らしげにボトルに刻んでいる。旨みを表現しながらもすっと立ち上がるミネラルがだらけない味わいを広げる。大物ではないが小物でもないおいしさ。家飲みにぴったり合う。

シャンパーニュ・キャティア(CATTIER)の限定版「キャティア・ブリュット・サファイア」。ブルーのボトルが印象的だ。小さな小さな泡が間断なく立ち上がる。キリッとガードを固めたようなミネラル感が支配している。ほのかな甘味やかすかな酸味、飲後の旨みもあるのだが、バランスがぎこちないため余韻がざわつき、美しいボトルほどは美しい味わいではなかった。
「ジャクソン 1996年」。やや濃い黄金色。熟成したパイナップルのような香り。熟成感がありとても柔らかいアタックで期待が高まるが、やや酸味が勝っており余韻はねじれている。このボトル自体の問題が大きいと思われるが妻にも不評。
「シャトー・コス・デストゥルネル」。86年は家で、83年は某フレンチレストランに持ち込んで頂く。86年のコスは甘美で誘惑の香り。ムスク系?香水のようだ。しなやかで繊細な口当たり。しかしじっくり溶け込んで芯の通っているタンニンが、酸味とともに伸びてくる。30分もすると透き通るような、旨みと喉の奥に感じるスパイシーさが特徴的になって、90分経つとすとんと綺麗なまとまりをみせた。
83年は開けたはなは閉じ込められたカベルネ特有のアロマ、ピーマンのような芳香が漂う。コスらしいふくよかなボリューム感も綺麗に表現されている。しばらくすると、熟成した湿気たブーケが支配してくるが、ややカビっぽいようなバランスの悪さも感じる。

「アンリ・ジロー・フュ・ド・シェーヌ 1999年」。王室ご用達のレアボトルというだけあって?コルクにつけられた特徴的な金属片が固く抜けにくく悪戦苦闘すると、横で妻が笑っている。焼きリンゴ、洋梨、蜜の香り。アタックは繊細だがスーと鼻の奥に抜けていく余韻が長い。すべらかな甘味と酸味だが、飲み干した後も複雑で立体的な余韻が自分の周りをただよう感じ。後半は白ワイングラスで頂き芳醇な白ワインと見まがう味わいを楽しむ。
当初はラベルをはがして裏に感想を書いていたが、ここ10年は飲みながら簡単なメモを残すようにした。そのメモも数冊目。ワインの感想だけではなく日記のように、記念日や嬉しかった事、年末年始のやりとりなどその日の出来事も一言書いてきた。読み返すと不思議なほど鮮明に、味わいだけでなくエピソードも蘇る。ワインには家族を幸せにし人生そのものを豊かにする魅惑的な力がある。
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