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京都「俵屋旅館」で初春の目出度さを楽しむ

1001tawara1livarot.gif桜や紅葉の京都も良いが、年末年始の慌しい「新年」に向けた京都も好きだ。古都の乾いた空気の中を流れる、肌を刺すような風の強さが身も心も引き締めてくれる。
 京都の老舗「
俵屋旅館」に到着すると、既に新春に向けた華やかな装い。玄関から上がってすぐの坪庭には餅花がひしめいている。今年はまた赤が印象的で華やかさもひとしおだ。「餅花」とは、12月13日についた餅を柳につけて花に見立てるという、俵屋独自の飾りだ。新春の花のように風でそよかに揺らいでいた。

 いつもの「暁翠庵」に入るとこれまた新しい香りがする。畳は全て取り替えられ部屋の隅々まで磨き上げられている。そして居間の「2010年新春のしつらえ」は、正月らしくこれまた華やかな掛け軸、室町時代に描かれた小野小町の絵図だ。柱には、悪い縁を切り良縁を結ぶという「安井金比羅宮」の縁起物の大きな稲宝来がかかっているのも迫力だ。

 そのような心づくしの部屋で、いつものお部屋係りさんの笑顔が、またここに来たと言う実感と長旅の疲れを癒してくれる。物音一つしない静けさの中、中庭を眺めたり、本を読んだり、高野槙の浴槽に身を沈めたり・・・しばしのんびりした後にはお待ち兼ねの夕食の時間だ。

1001tawara2 黒川修功料理長の今宵の献立は、いつもの繊細で透き通るような味わいに加え、ふくよかな魚のうまみ、そして薄味の中にもメリハリを効かせたコースの流れに組み立てていたように思う。

 締めた白グジ、とろりとした甘海老とともに供された「平目の平造り」は、見るからに脂がのっている。平目特有の淡白な身の奥に潜んだ、格別の旨みが口の中で広がっていく。どちらも何とも素晴らしい。

 椀物は「穴子の祖穀蒸し」。新春らしい内側が金色の器には、新米と炊いた穴子が美しく上品に鎮座してる。フワフワの穴子ともっちりとした米の触感と香りを楽しむ。コクもあって食がすすみ、妻も大層気に入った様子だ。

 焼物は「寒鰤小椒焼」。脂のノリが素晴らしく、身と一体となってとろけていく様を堪能する。博多は雑煮に鰤を入れる程こだわりがあるが、この寒鰤の身質の良さ、脂ののった旨み、それを生かした焼き具合と香ばしさは、とても完成度が高かった。
 添えられた「河豚の柚庵焼き」も素晴らしい。博多で河豚の調理料理は唐揚げが大半だが、このように上品に焼いて、しかも柚庵焼きで仕上げられた河豚は、プリリとした身が際立って美味だった。

 そして温物には、冬の京都と言えばコレって言うくらいお馴染み、熱々に熱せされた土鍋で出される「鴨鍋」。滋賀の鴨が、これでもかという程の白葱や壬生菜の上に乗せられて、その鍋はジュージューと音を立てて出てくる。焼麩も鴨の出汁を吸って味わい深い。湯気と鴨の香りがたちこめる中、幸せな汗をかきながら頂くのがとてもいい。

1001tawara3 東京では、気分や立地で様々なホテルを使い分ける我が家も、京都市中では「俵屋旅館」は外せない。1000年の古都は、知れば知るほど奥が深く、届きそうで決して手が届かない果てしない魅力がある。
 俵屋旅館を常宿にさせてもらい、そののぞき窓から「京の風景」を垣間見る・・・これが我が家の京都の楽しみ方であり、古都の味わい方である。

millefeuille.gifと言う訳で前回予告していた「小さな縁起物」は、ここ俵屋で今年もゲット。お馴染み「福俵」を筆頭に、寅やお多福のお香便り、更にお多福の箸置きに、お多福のあぶらとり紙など。これらは俵屋から程近い「ギャラリー遊形」でも求めることができるわ。そんな小さな「福」三昧が縁起担ぎ。ね、良い年になりそうでしょう。

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