レストラン花の木、自然の中に佇む大人のフレンチ

福岡の「水と緑のオアシス」である大濠公園内にある「レストラン花の木」。寒さの柔らいだ新年に訪れたこの日、Decouverte(デクヴェール・13650円)をチョイスした。
デクヴェールとは「発見」の意味で、寺田シェフのアイデアが盛り込まれていて楽しいコースだ。今回は、トリュフのアクセントを盛り込みつつ、フレンチらしい味わいの数々だった。
いつものお楽しみの3点アミューズの次は「鴨のコンフィとゴボウのテリーヌ トリュフ風味のエミュルジョン」。
彩りは軽やかだが、ゴボウ特有の土っぽい根野菜の香りが引き立ち、触感とともにとても力強いテリーヌだ。フランス産アスパラガスの柔らかい味わいがコントラスト。
続いて「オマール海老とキャベツの軽い煮込み フォワグラ添え」。サヴォワキャベツの下にフォワグラ、上にはオマール海老と細切りのトリュフと何とも豪奢。周りには軽く煮込まれたジロールをはじめとするキノコ類。ギュッと濃厚なエキスが凝縮され、フレンチの醍醐味を感じさせる一品だ。
これ以上の量でも飽きるし、少なくても不満が残る、そんなベストのポーションも、味わいの印象を引き立ててくれる。フォアグラ好きの妻も「これは気に入ったわ」と満足な様子。
爽やかでありながらトロリとした完熟感が印象的なアラン・シャヴィの「ピュリニィ・モンラッシェ(Puligny-Montrachet) 2006年」を合わせて頂いた。
そして天然鯛は、表面に卵白を塗って細かく砕いたトリュフをたっぷりと焼き付けた斬新な一皿。ノワゼット仕立てでフワッと鼻に抜けるバターの濃厚さ、粉砕された細かいトリュフの舌触り、その下にあるふんわりと火が入った鯛の身が、三位一体となっている。バターの濃厚な余韻は古典的なフレンチも思い起こさせる。
「仔羊肉の豚足ファルス ポテトグラタンにトリュフを添えて」。仔羊背肉の脂身をいったんとり、背肉と脂身の間に刻まれた豚足などを挟み込んだという手の込んだ一品。
口の中から繊細でいて肉感的なあの仔羊特有の脂の香りが立ち上る。分厚く長方形に切られたトリュフの贅沢な噛み応えがまた余韻を広げてくれる。
これには黒木ソムリエと相談しながら、「シャトー・ラフィット(Chateau Lafite-Rothschild) 1985年」を合わせた。柔らかいエレガントな香りは気持ちを穏やかにしてくれる。しっとりとバランス良く溶け込んだタンニンの周りを、綺麗な酸味と心地よい甘さが包み込んでいる。「ラフィット」らしい、その品格のある存在感にただ圧倒された。トリュフの香りを漂わせつつも軽いソースで品の良い食後感の仔羊とベストマッチだった。
デセールの「ピスタチオとチョコレートのパヴェ シェリーのアイスクリーム」は、バレンタインにも良さそうねと妻。
フランスでは、地方はもちろんパリでも、ミシュラン3ツ星の「ルドワイヤン」「プレカトラン」など自然を感じさせるグランメゾンが少なくない。ここ花の木は、福岡では数少ない豊かな自然に恵まれたロケーションだ。
湖面に反射する木漏れ日を柔らかく感じながらのランチ、日が落ちて漆黒の湖が迫ってくるディナー、落ち着いた「大人婚」使用のレストランウェディングなど・・・客がそれぞれの思いでその非日常感をアレンジできるところが、レストラン「花の木」の良さだろう。
ただ、バケットやチーズ、食後の小菓子が微妙など、守りのレストラン経営からくる「寂しさ」が客に伝わってしまうことも。また家具や設備が古くなっていてやや上質感に欠けたりもする。そういった残念な点はあるものの、黒木ソムリエと寺田シェフの2人を中心に奏でるフレンチは、福岡では「大人が通う価値あるレストラン」の一つと言えるだろう。
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