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「西麻布 拓」でワインと共に大人の寿司を楽しむ

100202taku1livarot.gifグランドハイアット東京から西麻布交差点を右折し外苑西通りに入ってすぐの小さい路地、「西麻布 拓」がひっそりと佇む。寿司屋らしからぬコンクリートの打ちっ放し、のれんをくぐると店内は思いの外広々としている。落ち着いた大人の雰囲気だ。入り口入って正面に8席のカウンター、左手に個室。個室もカウンターを囲む様になっていて、職人が目の前で握るという。

 翌朝1時までやっている営業時間のせいか、19時20時でもさほど込んでいない。外国人の常連客がワインを楽しんでいる様は、いかにも3年連続でミシュラン東京2つ星らしい風情。
 ここ「拓」の特徴は、店主と女性ソムリエの共同経営である点だ。工夫したワインの品揃え(もちろんフレンチレストランほどではないが、寿司屋にしては豊富)のリストが楽しい。
 まずはシャンパーニュ、エグリ・ウーリエのボトルから頂くことにした。「とりあえずビールですっきり喉を潤す」というイメージからすると、ブランドブランとかに走りがちだが、つまみや握りに柔軟に合わせるという意味では、ピノ・ノワールの比重が多いエグリ・ウーリエはとてもうまいリストだと思う。

 炭火で火を入れられたつぶ貝はその歯ごたえと風味が良かった。エボダイの押し寿司、そしてサヨリの笹焼き。笹の香りをしっかりまとわせたサヨリのふっくらとした身がおいしい。ここでかすごの握りが入る。続いておつまみに戻り、甘く仕上げた富山の白海老。岩手の原木の椎茸は、周りに火が入っているものの、中はぷりりとしたかみごたえで抜群の一品だった。そしてスミイカの握り・・・

 つまみと握りを交互に繰り出すところは「すし匠」を思わせる。尋ねるとやはり「久兵衛」など複数の修行先の中にすし匠もあった。柔らかく自然体な接客もなるほど久兵衛の良さを吸収しているのかもしれない。「すきやばし次郎」のように一つの店で長年修行するタイプ(どちらかというと握り中心店が多い)と、複数の店を渡り歩くタイプ(どちらかというとおつまみ充実店が多い)、客側にとってもそれぞれの楽しさを使い分ける選択肢が広がっていることを改めて実感した。

100202taku2 シャンパーニュとともに、ムルソーの白とブルゴーニュの赤(ミシェル・グロ)も注文した。ボトル売りしているワインも、相談するとグラスで出してくれるところがソムリエらしい工夫で嬉しい。
 和食・寿司ではどうしても、白にあう皿、赤にあう皿と厳然と分かれてしまう。しかもその順番がフレンチのように一定でなく読めない。拓のようにグラスが豊富(柔軟)だと、寿司屋でも色んなワインを堪能できる。ただワインに門外漢だとグラス売りはロスが出やすいから、なかなか他の寿司屋では難しいだろう。女性ソムリエが共同経営している長所が十分に生かされている。

 アナゴの西京焼き、鮪は赤ワインに合わせて、北海道と大間の雲丹食べ比べは白ワインで楽しんだ。シャリの形は美しくないが、シャリとネタのバランスは良い。握りの味わいとしては中庸タイプだが、鮪は赤酢で握る工夫や、コハダのミニ巻き、イクラのミニ丼、印籠巻きなどバリエーション豊かな楽しさはある。
 翌日どの「握り」を食べたか印象は薄く、「握りの旨さ」をしっかり堪能したなあという余韻は残らないものの、場所柄にあった店のコンセプト(企画)が上手で、デートなどにも使いやすいだろう。

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