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ホテル日航福岡「開業20年記念」師弟フレンチの饗宴

100222lescele1livarot.gifホテル日航福岡」の中橋義幸総料理長と、「レ・セレブリテ」宮園謙シェフによる、開業20周年のフェアーが行われた。1人15000円、前売りを利用すると12000円とこの手のフェアーにしては良心的な価格設定だ。予定していた2日間は満席になり、急遽3日目も設定された盛況ぶりだった。

 各テーブルに一足早い桜と有田焼(伊万里焼)で華やかな演出。この皿は九州サミットの際に利用された同様のものだという。フェアーに用意されたワインリストもなかなかの充実具合だった。
 まずは「ペリエ・ジュエ ベル・エポック(Champagne Perrier-Jouët Belle Epoque)2000年」で乾杯。ベルエポックはエミール・ガレのデザインした可愛い花のボトルイメージに味わいが追いついていないのだが、この2000年は保存状態も良く、洋梨・リキュール・ハチミツの香りが、シャルドネの優しいミネラルの旨みとともに広がった。喉越しの奥に感じるかすかな熟成感とフレッシュさのバランスも丁度良かった。

 前菜の「天草緋扇貝と茸のティエド 大島藻塩と柑橘風味のピュレ添え」。ブランチャーで火を入れられた緋扇貝は帆立のような甘み、シャンパンビネガーを合わせた茸類が下に敷かれている。アクセントのピューレもレモン風味で、全体に柑橘系の酸味がうっすらと目に見えないフィルムとして張られたようなイメージ。そのうっすらと絶妙な酸味の中には、緋扇貝の甘みや茸の風味がバランス良く配置されていて、シャンパーニュにぴったりの前菜だった。

100222lescele2 続いて「蝦夷鹿のテリーヌバテール風 農園野菜のコンフィーと共に」。メニューに添えられた一枚の絵葉書は、中橋総料理長によって描かれた力作。絵そのものの状態でプレートが出て来た。総料理長の思い入れを感じる一皿だ。
 テリーヌ自体は昔ながらの懐かしい味わいだったが、提携している農園の根菜類のコンフィーはとても滋味深くて良かった。

 その他印象に残ったのは口直しの氷菓。トマトの凝縮した甘苦さをふんだんに盛り込んでいて、本当の意味で口直しになっていた。
 蕪の風味を最大限に生かした「金武蕪の軽いポタージュとその葉のラビオリ」、ショロンソースが懐かしいフレンチを思い出させる「玄海平目と手長海老のパイ包み焼き 」と来て、肉は、「シャラン鴨と新玉葱のロースト バテール風ソース」と「猪の炭焼きとそのジュー パースニップのピュレと共に」。
 丹波産の猪はローストした後薄切りされ、さらに炭火で火を入れられている。野生の猪特有の強い旨みとさらりとした脂に、そのかすかな炭火の風味がアクセントになって食べやすい一品だった。

 赤ワインは、やはりフェアー用のリストの中から「マジ・シャンベルタン(Mazis Chambertin)1995年」をチョイス。ロマネ・コンティの共同経営者を経て、マダムとして「ドメーヌ・ルロワ(Domaine Leroy)」の陣頭指揮を行なうラルー・ビーズ=ルロワ。彼女が個人所有するのがこの「ドメーヌ・ドーブネ(Domaine d`Auvenay)」。ビーズ・ルロワの感性を感じる1本は、なかなか市場にも出ていない希少品だが8万円弱と現在の市価の1,5倍程度の値付けにこのフェアーにかける意気込みを感じる。

 ジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュ物としては、別格の「シャンベルタン」「クロ・ドゥ・ベーズ」、そして「ラトリシエール」「グリオット」以外は感銘を受けたことはあまり多くなかったが、この「マジ・シャンベルタン(Mazis Chambertin)」はとても良かった。
 最初は黒い果実の香り、すぐに梅の香り、しばらくすると特徴的なスパイスの香りに杏・煙草・アールグレイ。その複雑に絡み合う香りが呼吸するかのように延々と広がり続ける。余韻も長くて引き締まっている。味わいは喉の奥にまだ若干のゴツゴツしたタンニンを感じてまだまだ元気。デキャンタージュしてゆっくり頂いたが、落ちることなく最後までボディはしっかり安定していた。余りジビエっぽくなく優しく仕上げた猪と炭火のニュアンスにぴったりのハーモニーだった。

100222lescele3 最後に中橋総料理長、弟子にあたる宮園シェフと森田シェフと3代が揃って挨拶に来られたが、総料理長の厳格でありながら大らかなリーダーシップを感じた。真面目でキチンとした総料理長の印象に妻は「素敵な紳士ね~」と感心していた。

 最先端のフレンチではないし、ガツンとした味わいでもなく驚きはないけれども、いつ来ても大きく外す事がない。礼儀正しいスタッフによる安定したサービス、原部ソムリエがきちんと品質管理している適正価格の楽しいワインリスト、農園野菜など安心できる食材、きっちりと手間隙をかけた丁寧な作りのプレート・・・まさに「安心と信頼」という言葉がぴったりの「レ・セレブリテ」の20年を見るようなフェアーだった。

 ちなみに、ホテル売却で揺れる日航だが、日航福岡は従来より別資本が中心に運営にあたってきており、日航の資本比率はそもそも小さかったため、全く問題なく今の経営が継続するそうだ。福岡の「レ・セレブリテ」ファンも一安心だろう。

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