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中洲「グロッタ・ロッサ」で感じる南イタリアの香り

100507grottalivarot.gifGWは「博多どんたく祭」で盛り上がった福岡は博多。櫛田神社近くでどんたくパレード集合場所でも知られる冷泉公園前、「赤の洞窟」という名のイタリアンレストラン「グロッタ・ロッサ(GROTTA ROSSA)」がある。赤と黒が印象的で、照明をかなり落した中に横長いワインセラーが浮かび上がる大人の雰囲気のレストランだ。

 赤坂のフレンチ「ラ・ターブル・ド・プロヴァンス」で7年働いた後、マルケ州・プーリア州など南イタリアで修行した薙野耕平シェフがここ「グロッタ・ロッサ」を任されている。
 アミューズは、「糸島琵琶の中にフォワグラテリーヌ」を包み込んだ一品。様々な香りが絡み合ってとても綺麗な仕上がり。「おっ、いいね」とこれからのディナーに期待が広がるアミューズだった。

 「赤牛のカルパッチョ」が、変わったデザインの小さなガラス器で運ばれてくる。チーズやスパイスの使い方が凝っていて面白い食感ではあるが、何となく味わいのまとまりに欠けるかな。
 続いて「ホワイトアスパラガス 仔羊のモツ煮込み添え」。モツ煮込みを添えてくるところがイタリアンらしくてなかなか面白い。妻にはその特有の香りが苦手だったようだが、イタリアワインに合わせたいと思わせる一品。
 そしてメインの魚は「アオナのポワレに玉葱のピューレのソース」。やや玉葱のソースが甘かったが、アオナはとてもシットリと仕上がっており上手な火入れ。

100507grotta1 そして今回一番良かったのが一皿目のパスタ、「プーリア州の名物」というオレキエッテ。ここまではイタリアンとフレンチを融合したような洗練されたプレートが続いたが、全粒粉の小麦粉をかみしめる素朴な味わいでありながら、魚介の風味豊かにイタリアの香りがパッと迫ってくるようで素晴らしかった。「シェフの南イタリア満載コース」などあったら食べてみたいなと思わせた。
 さらにパスタもう一皿は「北海道産サフォーク産仔羊のラグーのタリアッテレ」。ラグーはやや甘くて食べ飽きる感じもしたが、食感・バランスは良く食べ応えのあるパスタだった。やはりパスタが上手だとイタリアンのコースは気持ちがとぎれない。

 メインの「阿蘇の赤牛」の焼き加減も丁度良かった。ちょっと苦手だった人参のグラニテに続いて、とても印象的なフォルムのデザート。ペーパーの器は酔っていると食べにくいが(笑)それも一興。味わいはとてもシンプルでアーモンド・牛乳の風味がねっとりした不思議な食感で広がる。オレンジにシナモンの香りが効いている。なるほど南イタリアらしい素朴な美味しさだ。

 「シェフのお任せコース」は、皿数は多いがポーションは量自体はかなり少ないため最後まで楽しく頂けるだろう(男性は物足りないかもしれない)。パスタが2品ついてくるところも嬉しい。
 洗練されたプレートと郷土色の強いプレートを織り交ぜつつ完成度の高いコース構成を目指す意図は伝わる。ただこれにスペシャリテや存在感のある印象的なプレートが中盤から最後にあると(コースにメリハリや山があると)、客の満足度も飛躍的に高まるのではないだろうか。恐らく赤牛にその役割を求めているのだろうが、有無を言わせず万人を押し切るだけのインパクトには欠けるだろう。

100507grotta2 場所柄、観光客・同伴・カップル・家族連れ・夫婦・団体・接待など様々な客層であるため、接客も難しいかもしれないが、男性陣のサービスは総じて良かった。特にマネージャーの大久保ソムリエは、ワインリスト以外のセラーのワインについてもきちんと把握していてすらすらと説明してくれる。客側の好みの味・地域・価格帯もそれとなく聴き取りながら色々と勧めてくれた。客がワインや料理と向き合う時間は決して邪魔をせず、適度に暖かいサービスだ。
 時間帯によっては入口すぐのバーの音が大きく響くがこれも人気店ゆえ仕方ないか。ダイニング自体はテーブル毎に独特のパネルで仕切られていてプライバシーは守られる。用途に応じて使い分けもきくだろう。

 オーナーの「プロヴァンス」野村シェフは初期からソムリエ・サービス陣に恵まれている。料理人が経営するレストランはややサービス・ワインが後手に回ることが多く、逆にソムリエが経営するレストラン(ワインバー)は料理が弱いことが多い。ここプロヴァンス系列の「グロッタ・ロッサ」は、そのバランスの良さが人気の一つなんだろうと感じた。
 薙野シェフの向上心が花開くようにさらに自由に任せると、フレンチでありながらイタリアンの「阿曽ブランド」という強みを発揮している「ひらまつグループ」のように、「野村グループ」の強みになるのかもしれない。そんなことまでつらつらと考えさせる楽しいディナーだった。 

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