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恵比寿「ジョエル・ロブション」でスペシャリテ三昧に酔いしれる

100829robchon1millefeuille.gif恵比寿ガーデンプレイスに聳えるルイ王朝様式のお城。それはいわずもがな日本最高峰のフレンチ「シャトーレストラン ジョエル・ロブション(Château Restaurant Joël Robuchon)」。2004年11月に現形態で再スタートするその前10年間は「タイユバン・ロブション」だった・・・懐かしく思い出す人も多いと思うわ。
 仏ミシュラン当時3ツ星の「タイユバン」と「ジョエル・ロブション」が合体。計6ツ星レストランという驚くべき豪華共演に、当時皆歓喜したものだったが、仏本体の経営不振などを理由にタイユバンが撤退。とはいっても「タイユバン」はサービス担当だったので、料理担当の「ロブション」がそのまま継続してくれた事は、日本の食文化にとってとても有難い事だったの。

 そして新シャトーレストランは、ルイ16世様式の建物自体の造りや装飾はそのままで、ルイ15世の王女の肖像画などの重厚な絵画やカーテンなどを外し、メインダイニングの中央にはバカラのシャンデリア、壁には鏡やクリスタルなどをアレンジメントしたきらめくシャンパンゴールドの世界に。更に試行錯誤の末、テーブルクロスや絨毯はすべて黒に統一、スタッフもタキシードからデザインスーツにすっきりモダンにイメチェンした。
 「タイユバン」撤退で心配されたワインに関しても、改めて日本最高最新設備のワインセラー(マイナスイオンまで出ている!)と仕入れが揃い、それまで以上の状態を造り上げる事になるわ。まさに歴史の上に現代的さを融合させた豪華で最先端の「ジョエル・ロブションの世界」。もう6年になるのね。

100829robchon2livarot.gifジョエル・ロブションのスペシャリテのみを組み合わせたスペシャルディナーコース「ムニュ ロブション スペシャリテ(MENU LES SPECIALITES JOEL ROBUCHON)」32000円を頂きに、ここ「ガストロノミー ジョエル・ロブション( Joel Robuchon Restaurant)」を再訪した。前述の「タイユバン・ロブション」が終了する2004年7月「最後の晩餐」で頂いて以来のロブション・スペシャリテ再現というわけだ。

 当時のメニューを確認すると、「鱈 ポワレにし香味野菜と共に」と「鴨のフォワグラ グレープフルーツのグラタンと小玉葱のグリエを添えて」以外は同じメニュー。アラン・ヴェルゼロリ シェフがどのように提供してくるかも楽しみだ。
 まずは我が家の定番シャンパーニュの一つ、クリスタルゴールドに輝く「
アムール・ドゥ・ドゥーツ(Amour de Deutz)」で乾杯。相変わらず色気あるミネラル感が美味だ。

 何かアミューズからスタートするのかと思いきや、いきなり「キャビア 甲殻類のジュレに、なめらかなカリフラワーのクレーム」からスタート。こちらの期待感に真正面から答えてくる。ロブションも「これは世界の料理人に影響を与えたと思うが、私も大好きな一つ」と言っている前菜だ。
 底にはオシェトラキャビアが敷き詰められ、真ん中に甲殻類のコンソメジュレ、一番上にはカリフラワーのムース。コンソメのジュレは、甲殻類の香りが口の中いっぱいに広がり、キャビアの塩気と贅沢感と一体になる。それを優しいカリフラワーがまとめてくれる。とても小さなポーションだったため、オカワリしたい位だった(笑)

100829robchon3 「トマト 毛ガニと共にミルフィーユ仕立て、酸味の効いたクーリで」。菱形に形取ったトマトやカニが目にも鮮やかな赤で美しく、まさにスイーツの「ミルフィーユ」を彷彿とさせるカラフルな一品。
 かなり熟成したトマトの凝縮感からくる上質なケチャップ感が楽しい。そういえば、ロブションも著書の中で「僕はケチャップも隠し味に使う。だって美味しいでしょう」と述べているのでそういうイメージのニュアンスなのかもしれない。

 「ラングスティーヌ ラビオリにし、ちりめんキャベツとフレッシュトリュフを添えて」。心地よい触感のラビオリに包まれたラングスティーヌ。その上には細かく刻まれたトリュフが上品な香りを漂わせる。
 6年前は真ん中のキャベツを挟み込むようにラビオリがいくつかあったが、今回は一つと少量の現代人に合わせ、異なったデザインで提供されたのも面白かった。

 「スズキ 五香粉の香りと共にポワレし、ベルジュ風味の赤ワインソース」。酸味の綺麗な赤ワインソースの周りにとても少量のホワイトソース。ソース同士がまじりあって見た目が醜くならないように、濃度も計算しているという。スパイシーな香り漂うスズキはとってもしっとり、しかしふっくらと魚料理のお手本のような仕上がり。

 「仔羊 パストラル風にローストし ポテトのピューレとハーブのサラダを添えて」。何とも色合い美しいプレート、この料理のために用意されたというゴールドの皿もまばゆいばかりだ。
 ピンクの肉肌が均一、いわゆる真空低温料理で処理された仔羊。表面をバーナーで焦がして真空パックに入れ、30分ほど低温でゆっくりと加熱したもの。真空料理は下手するとゆるい温度感と中途半端な火入れが美味しくないこともあるのだが、さすがに絶妙な加熱具合による仕上げでとても美味だった。妻も「久しぶりに美味しい仔羊に出会えたわ」と最後までご満悦の様子だった。

100829robchon4 「ジョエル・ロブション」ではワインのチョイスも楽しみの一つだ。何とセラーには25000本のワインが貯蔵されているという。シェフソムリエの信国武洋氏は的確で気が利き、迫力あるサービスが頼もしい。彼に色々相談させてもらい、今回は「仔羊にポイヤック」という黄金律の中から「シャトー・ラフイット(Carruades de Lafite Rothschild) 1978年」をチョイスする。

 熟成した腐葉土の香りと上質なエキスのような旨みにあふれたラフィットとロブションスペシャリテの仔羊は抜群の相性だった。信国ソムリエに印象を尋ねると「ラフィット近くの杉の森の香りそのままですね。典型的な香りですが素晴らしいバランスです」ということ。コメント通りまさに目の前にボルドーの森が現れて、その中を歩きながら赤ワインを堪能するような印象だった。

 テーブルに挨拶に来られたアラン・ヴェルゼロリ(Alain Verzeroli)氏はとてもスマートで穏やかなシェフ。見上げる妻の目はハートだ(笑) 大学で経済を学んでいたが芸術好きから料理人に転向した珍しい経歴の持ち主。真面目さや知的さがそのプレートに現れている。
 味は決してシンプルではなく複雑、平面ではなく立体的、しかしそのすべてが皿の上で見事に調和している。「素材」の味と香りが立ちこめ、「素材」が浮かび上がるという、ロブションの完成度の高いスペシャリテの特徴が綺麗にでた料理だった。

100829robchon5 シャンパンワゴンに始まり、バターサービスにパンやチーズワゴン、さらにデザートワゴンととにかく盛りだくさんで、さすが国内トップの豪華さ。サービス陣も若いながらテキパキとこなして、会話も上手に楽しい時間を過ごさせてくれる。毎日昼夜と多くの客をさばいてさぞハードワークだろうが、フロアでは全くその疲れも見せず皆素晴らしいサービスで感心する。

 さて、食後酒でチーズを楽しんだり小菓子を色々選んで満喫したところで、またもや妻のワガママが出た。「デザートはルージュバーで頂きたいの・・」。ここ2階メンダイングの向かい側にある「ルージュバー」は、ゴールドのダイニングから一変して真紅一面のサイケデリックな空間。食事前のウェイティングや食後のバーとしても使える。
 ということで、メインデザートの「ショコラ 甘さを抑えた柔らかいタルトにピスタチオのグラスを添えて」と、生ハーブティーなど運んでもらい、ルージュバーのソファーで最後までゆっくり楽しませてもらった。

 なお、この「ムニュ ロブション スペシャリテ」は当初8月31日までの予定だったが、好評につき9月30日まで延長されたようだ。いつもの斬新で刺激的な少量多皿メニューも良いが、スタッフが「お帰りなさいませといった感じですね」と言うように、この機会に懐かしいスペシャリテメニューを満喫するのも楽しいと思う。

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