初心者や若者向けのカジュアルフレンチ「ヨウヘイタ」

この夜は薬院に新しく出来た(昨年10月オープン)カジュアルなフレンチ「レストラン ヨウヘイタ(Restaurant Yoheita)」に行ってみる。逓信病院裏のマンションの2階で、以前にはイタリアンが入っていた場所。夜は人通りがほとんどない静かな界隈だ。
鹿児島出身の今西洋平太シェフは大阪の専門学校卒業後、西中洲にあった「こじま亭」(現フランス料理KOJIMA)を経て渡仏。当時3ツ星だった「タイユヴァン(Le Restaurant Taillevent)」前菜部門で1年半ほど研修した後、エリゼ宮やミシュランシェフご用達パリ14区にあるユーゴ・デノワイエ(Hugo Desnoyer)氏の精肉店「ブーシュリ・デノワイエ(Boucherie Desnoyer)」に半年勤務し肉の扱いを学んだ。
その後、南仏コート・ダジュールのマントンにあるレストラン「ル・ミラジュール(Le Mirazur)」でアルゼンチン人初の1ツ星シェフとなったマウロ・コラグレコ(Mauro Caulagreco)シェフの下で1年修業し2009年末に帰国したそうだ。
ディナーは5000円のお任せコースのみ。紙1枚の裏表のワインリストもかなり控えめ(笑)なラインナップ。選択の幅がなくワイン好きは正直チョイスする楽しみはない。広い店内は余裕のあるテーブル間隔で、ベージュ・白を基調にしたかなりシンプルな内装。照明もかなり落としている。
アミューズは3種の盛り合わせ。パプリカのムースは風味が香り良かった。ジャガイモとトリュフのクロケットは少し柔らかすぎて、またトリュフも全く香らなかった。
一方自家製パンはさすが長年フランスで生活していただけあって、小麦粉の風味といい食感といい焼き具合といい美味しかった。
「ホタテと野菜のカクテル」トマトのジュレがかけられた一品。ジュレが薄く、また野菜の力がないので全く印象に残らない。
「菊芋のスープ」。菊芋の土っぽさの中にほっこりするような味わいを生かしたスープ。数滴垂らされたトリュフオイルが香りと味わいを引き締めており、これは良かった。
タイユヴァンでよく作っていたという「フォアグラのクレームブリュレ」。フォアグラをかなりクリームでのばしているため、フォワグラのコクと深みが感じられずインパクトに欠ける。「フォアグラ風味」といった感じだろうか。
「金目鯛のポワレ 野菜のコンソメ」。ラタトゥイユが敷かれた金目鯛のポワレに、バイ貝やアスパラ菜が添えられる。さらに目の前で野菜でひいたコンソメが注がれる。ほのかな甘さを漂わせる繊細な味わい。野菜のコンソメという視点はおもしろかったが(マウロの料理にも見かける)、余韻の複雑さがないためシンプルな印象は否めない。
「鴨のロースト」。フランス産鴨の胸肉を70度で低温ローストして芯温55度になるまで火を入れたもの。ソースはシンプルに鴨のジュ。付け合わせは、鴨の腿肉のミンチを包み込んだパイ包みと、柿と金時人参のムース。かなり赤身の残る仕上げだがしっとりと火が入っていた。ただ皮と皮の下の鴨特有の脂に余り熱が入っておらず焼き切れていないため、やや緩い印象が残ってしまった。
そして「ココナッツミルクとホワイトチョコレートのスープと苺」「チョコレートのテリーヌ」とデザートが続く。クランベリーのクッキーの上には自家製のバニラアイスクリーム。ラム酒をかけて目の前で火をつけて頂く。どっしりした濃い風味の珍しい紅茶は、鹿児島の下堂園の薩摩紅茶。
少量多皿・バタークリーム控えめの軽い味わい・プレゼンテーションは現代風フレンチを意識したものだが、全体的な食後感はカフェ的な味わい。値段の中では良心的に頑張っていると思うが、いかんせん素材の力が弱く味わいの深みや複雑さがないため、コアなフレンチ好きが満足とはいかないだろう(店側も現時点では、そういう客を求めていないと思う)。今後軌道に乗るにつれ、コースの柔軟性や素材の質など工夫を期待したい。
大学生・若い社会人のデート、女子会(ママ会)など「フレンチ初級編」としては良いかもしれない。どちらかというとランチの予約が多く、ディナーはまだ少ないとのこと。バレンタインデーやホワイトデーなどにも狙い目だろう。
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