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銀座「あら輝」、世界に向けた美しきマグロ物語

millefeuille.gif銀座に移転して早1年を越え今乗りに乗っている鮨「あら輝」。ミシュラン東京2011で初登場3ツ星を獲得して、日本一予約が取りにくい鮨店とも言われているわ。ラッキーな事にたまたま予約が取れたこの日、私は上野毛以来の銀座店初体験だったのでとても楽しみに思っていた。(主人のあら輝訪問はこちら)

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 歌舞伎座近く銀座5丁目、「狩野画塾跡」角を曲がり路地を少し入る・・・芸術的歴史地区に新店舗を構えるところはご主人・荒木水都弘氏らしいわ、なんて勝手に思ったりする(笑) ガラスと白木を黒が引き締める真新しく清潔感あふれた店構え。店内入るとかなり明る目暖色系照明が清潔で健全な雰囲気を醸し出して好印象。

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 キリッと浮かび上がるは1枚ものの白檜板(カウンター)は迫力があって清々しい。その突き当たりには北野武氏作「福助」が縁起物らしい風情で目立つように掛けてある。美しく潔く鎮座するカウンターは幅が広く、作業台と連なり少し傾斜したているためご主人の手元がよく見える。そうまるで「舞台」のよう、今から始まるエンターテイメントな世界に期待高まりワクワクするの。

 まずは乾杯。酒器は渋い唐津焼「中里隆」や、華やかな有田焼の「柿右衛門」などがサラっと出てくる感じが素敵。白木に良く映える風情も計算のうち。先日は金沢、その前は唐津の窯に行かれていたという話も楽しいわ。

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livarot.gif最初は米の穏やかでふくよかな風味の「開運」を冷でゆっくりと頂く。最近は「幅広く使えるので純米酒を色々と増やしています」という荒木氏。他にも、静岡「磯自慢」・兵庫「播州」・京都「徳次郎」・福井「黒龍」などかなり豊富に揃っているので目移りもして楽しい。

 さて目の前には、瀬戸内淡路島・岩谷から今朝届いたばかりという「鯛」がどーんと登場する。見るからに弾力ありプリプリ迫力がある。そのままのぷっくりとしてソフトな噛み心地、裏にほのかな甘みを湛えていて美味しい。

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 続いて湯気をたたえた大きな長崎の「鮑」が出てきた。アツアツのそれには手を触れるのも大変そうだ。そして包丁が入れられると海の香りが漂うという素晴らしさ。歯に吸い付くような柔らかさの身質には磯の香りと海の旨みを、添えられたキモには爽やかな苦みを感じ、まさに日本酒にぴったりだ。

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 そして気仙沼の「鰹」、分厚いブロックに妻の目が丸くなる(笑) 手際よく包丁がスーと引かれていく。そこに美しい九谷焼皿が出て来る・・最近金沢で5枚だけ手に入れて来たという「山本長左」の作品。それに見た目にも美しい大ぶりの鰹が葱や海苔と共に盛り付けられる。鰹出汁を入れた醤油を好みで付けて頂く趣向だ。荒木氏お得意の、目の前で上質で大きな素材に手を加えいく様は、客の気分を確実に盛り上げる。

 爽やかなオレンジ色は徳島の「雲丹」、これには塩を掛けてある。ほのかに透き通るような甘み・とろけるような喉越しが初夏らしく綺麗だ。これには京都の純米「徳次郎」を合わせる。酒米を丁寧に磨き上げているのだろう、ほのかな米特有の香りが冴える。アオリイカのえんぺら(耳部分)の塩焼きも歯ごたえが楽しいアテ。

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 そうしているうちに、ドーン!!とマグロのブロックが3体も登場して来てどよめきが起こる。「あら輝」では今年初の大間のマグロだ。「昨年は築地の大間の1番ものを手に入れたんだけど、今年はこれが初なんですよ」という。4日前に上がったばかりの149キロ物ということで新鮮で美しい姿。

 鮪特有の血の香りが客席にも漂い始めると、「なんて大きな!血、血の匂いがするわ~♪」と妻は興奮している。「この血の香りだとボルドー右岸飲みたい・・右岸・・」と赤ワインを欲し始めたのには困った(笑) 確かに上質の鮪はある意味で「海のジビエ」とでもいうべき存在。ほどよく熟成したメルローなど合いそうだ。

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 お待ちかねの「握り」へ。まずは自慢の「赤身」、「中トロ」2貫、「大トロ」2貫と5貫連続で鮪が続いていく。強めのシャリが実にトロと噛み合い「あら輝」ならではのハーモニーを奏でる。「大トロ」は少し熟成されたしっとりとろける旨さで、妻は直ぐさま追加注文しそうな勢いだった(笑) 「大間はうまいね~」という声が上がると、「やはり大間はうまいですか、くやしいですね」と鮪にこだわる荒木氏らしい独特の言い方で応える。

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 さらに「アジ」「イカ」。「トリガイ」はしっとりした噛み心地の後にほのかな甘みが広がる。そして季節の醍醐味「シンコ」はしみ出てくる酢加減が上手い。「赤身のヅケ」はねっとりした風味がシャリと混じり合いまた別の味わいに昇華している。「アサリ」は直に手に置かれ頂く、「アナゴ」は口の中でゆっくりととろけていく感じがいい。

20110718araki4 一通り終わったところで追加をお願いする。今回は妻は能登の熟成させた鮪の方を所望する。私は手巻き・・つまり「あら輝」名物の通称「チョモランマ」だ。
 鮪の柵を巻いた上に更にこれでもかとマグロがこんもり乗せられる。周りの御常連方からも歓声が上がり、まさにクライマックスと言ったところだ。パリッとした海苔の風味とマグロの酸味・旨み・とろみ、そしてシャリと一体となって宴の最後を締めくくってくれた。

 相変わらず色気ある握りは力強くそして旨みにあふれていた。鮪との相性は他の追随を許さないレベルだ。前半の明石の鯛もかなり良かった。純米酒のバリエーションも多いので好酒家も楽しめるだろう。安定した仕事ぶり、上質の素材、メリハリのあるトークで客もゆったりとした時間を楽しく過ごすことができる。

 荒木氏は今月末から初のヨーロッパ入りをする予定で、英・ロンドンを中心に仏・パリにも・・そうそう「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション(L'ATELIER de Joël Robuchon PARIS)」も訪問する予定とか。ロンドンへの「あら輝」出店も秒読み段階のようなので、これからの展開にも目が離せない。更なる世界のステージでの活躍も期待しつつ銀座を後にした。

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