フォーシーズンズ香港「カプリス」、キラキラクリスタルでゴージャスな夜
今回の香港旅行の最大の目的は、宿泊先「フォーシーズンズホテル香港」6階にあるフレンチレストラン「カプリス(Caprice)」でのデイナー!2008年夏にも来たけどキラキラでと~ってもゴージャス♪非日常の素敵な世界にワクワクするわ♪
仏ミシュラン3ツ星の「フォーシーズンズ・ホテル ジョルジュ・サンク パリ」内フレンチレストラン「ル・サンク(Le Cinq)」からのマネージャーやシェフ、ソムリエにパティシエからなるスタッフで、オープン当時の香港では「ドリームチーム」とかなり脚光を浴びていたし、ミシュラン香港でも3ツ星を獲得している。
2009年に行ったそのパリ「ル・サンク」もかなり豪華だったけど、こちらの「カプリス」はいかにも香港らしいテイストで、中国の伝統取り入れたチェコ製のシャンデリアがいくつも天井から下がっていてとにかく優雅。
ワインセラーで彩られた華やかなエントランスをくぐり抜け、黄色にライトアップされたランウェイのようなメイン通路を通るのが嬉しいの。そして降り注ぐクリスタルに囲まれた迫力のオープンキッチンを横切り、前回と同様のベストな窓際のテーブルに案内される。フカフカの椅子に座ると、夜の闇にキラキラと輝くビクトリア港と九龍側のビル群を一望できる。この贅沢な空間は東京でも味わえないわ♪
妻が大好きなこの黄金の豪華な空間、適度にドレスアップしたカップルや観光客に混じり、接待組など様々な客層だ。料理はフランスらしいゆったりしたペースで進む。夕暮れ明るかったビクトリア港もすっかり日が落ち、夜景が水面に反射する。いかにも香港らしい迫力あるフレンチレストランだ。
相変わらずゴージャスな店内に気分が自然に盛り上がる。窓からはヴィクトリア港のハーバービュー、そしてコの字型の巨大なオープンキッチンが目の前に見えるという特等席だ。フランス人ヴィンセント・ティエリ(Vincent Thierry)シェフの統率のもと20名を越えるシェフが、所狭しと一糸乱れず料理する光景は壮観である。
前回はカプリスのイメージを体験できる小皿のコース、テイスト・オブ・カプリス(Taste of Caprice)をチョイスした。アジアンチックな味付けの着地点にやや着いていけず、ゴージャスな雰囲気だけを味わう感じになった(笑) そのため今宵はアラカルトで選んでいくことにする。
アミューズ1品目は、妻曰く「エディション コウジ・シモムラ」を彷彿とさせるミニバーガー。シモムラほど精緻ではないもののシンプルに食欲にアプローチしてくる実直な味わい。
グラス・シャンパーニュはシャンパーニュ・ワゴンの中から「ディアボロ・ヴァロワ ブリュット・プレステージ(Diebolt Vallois Brut Prestige)」をチョイス。その少ない生産量からなかなか入手困難なドメーヌ。にこやかなソムリエがマグナムボトルから軽やかに注ぎ入れてくれる。
シャルドネらしい果実味に適度な熟成感が心地よい味わい。ちなみにグラスはそのほかに「エグリ・ウーリエ ブラン・ド・ノワール(Egly Ouriet Blanc de Noirs)」なども用意されていた。シャンパーニュ好きにはなかなか嬉しい品揃えだろう。

アミューズ2品目は、バジルのソースの上にトマト、リコッタチーズ、そしてキャビアが層になったもの。緑・赤・白と色美しく形取られている。組み合わせはやや普通かなと食べ進めていたが、トマトの中に潜んでいたトマトのシャーベットが爽やかなアクセントで面白かった。
前菜は「ラングスティーヌのカルパッチョ、ゆずジャム、キャビア、牡蠣と海草クリームとともに(Langoustine Carpaccio with Yuzu Jam, Caviar, Oyster and Seaweed Cream)」。美しく綺麗に敷き詰められたラングスティーヌのカルパッチョ。その上にライン状にキャビアが添えられ、同じく並行にゆずソースが敷かれる。視覚的にも美しく訴えかけてくる。
海草クリームとゆずジャムを適宜からめながら頂くという1品だ。キャビアの程良い塩気とカルパッチョの爽やかさのバランスが良く、シャンパーニュにはぴったり。日本人にも寄り添いやすい味わいだろう。
続いて「ラングスティーヌのラビオリ 仔牛の胸腺とジロール茸 貝類のビスクソース(Langoustine Ravioli with Veal Sweetbreads and ChanterelleMushrooms in Shellfish Bisque)」。予想を超えて迫力のある一品。これが日本のコースだと3分の1、いや4分の1位のポーションになるのではないかな?大きなラビオリがプレートを覆っている。ラビオリの下に隠れているラングスティーヌを、ビスクソースの濃厚な海の風味とともに食するプレートでなかなかの食べ応えだ。
22時を過ぎる頃ふと気が付くと、美しく広い店内はいつの間にか満席で人々の笑い声とざわめきがBGMとなり佳境を迎えた。先日の「龍景軒」と同様にヨーロッパ・インド・中国と様々な客層でにぎわっている。
特に目についたのが地元客、20・30代でITかトレーダーかとおぼしきラフな男性だけのグループ。わいわいと楽しげにワイン片手に盛り上がっている様は、今の日本ではあまり見かけなくなった一昔前の光景かもしれない。確かにここで(ホテル自体)日本人客を見かけなかった・・確実にアジアにおける位置付けも変化しつつあるのかもしれない。

メインは、妻は「プランチャで火を入れた大西洋産のホタテ貝 ブーダンノワール、アップルチャツネ、根セロリとグラニースミスピューレとともに(Atlantic Scallops a la Plancha with Boudin Noir, Apple Chutney, Celery Root and Granny Smith Puree)」。軽めのプレートを頼んだつもりがなかなかのボリュームで妻もあたふたしている(笑) ブーダンノワールが不思議な食感と鉄分の味わいで、何とも言えないフレンチらしい独特のプレートに昇化させてくる。妻にはちょっと味もきつかったようだ。
私は「シャラン産鴨フィレ肉 セロリのオルゾー(大麦)のパスタと内臓のフリカッセ 黒トリュフのソース(Challans Duck Fillet with Celery Orzo Pasta and Giblet Fricassee in Black Truffle Jus)」。黒トリュフソースの上にドーンと肉厚のあるシャラン産鴨が鎮座している。

きっちりと焼き切った鴨フィレ肉は噛みしめがいがある。鴨特有の旨みをまとった野趣っぽさがダイレクトに表現されていて美味。付け合わせが香港的かな? 大麦のパスタの風味と黒トリュフの風味が混じり合って、奥深い濃厚さが余韻にとどまる。
合わせた赤ワインは「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ シャンボール=ミュジニー プルミエ・クリュ(Comte George de Vogue Chambolle-Musigny 1er Cru) 2006年」。ヴォギュエらしい凝縮した果実の香り。野性味とスパイスのバランスが良い。
アタックから余韻にかけて甘さをまとった果実味がふわっと広がり、思ったよりほどけつつあるタンニンと絡み合う。ミネラルの薄いフィルムがまだ全体をカバーしているがそれもまた心地よい。凝縮した香りと味が、濃厚なソース・付け合わせの鴨肉とぴったりはまった。
さて、カプリスで必ず頼みたいのがチーズ。フランスから輸入されたチーズが「チーズ専用セラー」で保管されている。大きな木の台に乗せられたチーズがこれでもかと運ばれてくる。多種類の中から熟成した「ミモレット」、やっぱり「シェーブル」、そしてお勧めなどを頂き、ヴォギュエの赤とともに堪能した。
フランス人に香港人スタッフ、ほか皆さん心地よいサービスで楽しく過ごせた。担当してくれた香港人のソムリエも、3ツ星レストランで働くという真面目なプライド、客に楽しんでもらおうという心からのサービス精神、そしてワインに対する優しい愛情を感じてとても良かった。
ところで「テイスト・オブ・カプリス」は、まさに「カプリス」のエキゾチックな雰囲気を味わうにはもってこいのコースだが、好みが合わないと辛いかもしれない。
今回もメニューを見ると、「暖かい鴨フォワグラとサイダーソース」「スモークしたキジのコンソメ、牡蠣とポシェした海老とともに」など興味は惹くものの、個人的には香港チック(多国籍)すぎて難しいかなという感じがした。そういった意味で、好みの食材を中心に「アラカルト」でチョイスした方が日本人的には無難かもしれない。アラカルトで楽しんだ今回の食後感は、パリの「ル・サンク」で感じた「フランスの力強く迫力ある味わい」に近くとても満足できた。

日本でゴージャスなフレンチレストランというと「ガストロノミー ジョエル・ロブション」や「トゥール・ダルジャン」などを思い浮かべるが、それら日本のレストランとはまたひと味異なる「香港ゴージャス」を体現した、きっとまた来たいと思えるフレンチレストランだろう。
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