寿司・鮨

もうすぐ1年「JR博多駅シティ」と いっぴん通り「寿司 やま中」

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millefeuille.gif正月行事を終えて落ちついた一月の終わり、ほっこり休息をしに京都に向かう。そうだJR博多駅もリニューアルしてそろそろ1年になる。博多地区も一気に活性化して、JR博多駅シティはすっかり立派な「博多の顔」になっていると思うわ。
 さて、新幹線に乗り込む前にお弁当を買おう。改札口近くの「いっぴん通り」は選りすぐりの九州の名店が並んでいるので迷うが、やっぱり今回も寿司割烹「やま中」にする。

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 我が家でお馴染みの薬院にある寿司割烹「やま中本店」、そこのテイクアウト専門店という訳ね。夏に京都へ行く際も紹介したが、今回はウリの「ちらし寿司」1575円と瓶詰めのガリ「芽しょうが」735円、そして「押し寿司」は1575円だったかな? 20分位待つ「にぎり寿司」はやはり今回も断念(注文後セントラーザ支店でわざわざ握るから)。

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 さていつものホームに上がってみる。そしていつもの山陽新幹線「のぞみ」クリーン車両お向かいには、今日もつばめ「新800系」がいる。逆方向に出発寸前・・ちょうど最後部で顔(三次曲面凸型目)が正面から見えるので、何故か何となく激写(笑) 九州新幹線全線開業に合わせて登場した6両編成「新800系」なのだから、これももう1年て事になるのよね?

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 5号車の「多目的室・車販準備室」部分などにある「つばめ」をイメージとする新ロゴデザインもすっかり定着した。車内の壁はハードメイプルに金箔、漆工のディスプレイやオレンジツイードのシートも見える。それを見送りつつ私達は山陽新幹線「のぞみ」に乗り込み、雪がちらつく寒空の中癒しを求めて「いつもの京都」へ旅立った。

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エンターテイメントな博多寿司「やま中」、大間のマグロで縁起担ぎな楽夜

millefeuille.gif新年会目白押しのシーズン、やはり縁起が良い華やかで楽しいお店を選びたいところ。そこで真っ先に思い出すのはエンターテイメント性の高い博多寿司を代表する「寿司割烹 やま中」。JR博多シティの大型ダイニングフロア「くうてん」やホテルなど支店もあるが、なんと言ってもやはり薬院にある「やま中 本店」にが良い。客層も福岡の財界人・著名人をはじめ、野球界や相撲界のご常連もお見かけする、前回は某九州最大の博物館館長をお見かけしたが、「やま中 本店」の見どころのひとつはやはり美術、磯崎新氏の設計するモダンな建築。ここはさながら磯崎新プチミュージアムよ。

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 打ちっぱなしのコンクリートにガラス張りの外観は15年経った今も新鮮で迫力ある佇まい。その中に温かみある自然素材が融合している。天井高の贅沢な造りは会話も気にせずゆっくりと食事をすることができるわ。
 艶やかな朱塗りの壁に浮かぶのは、5年に一度は数日休業して特殊な和紙を全て張り替えするという「雲型和照明」。その下には輝く美しい樹齢800年の木曽檜一枚板のカウンターで、いつも20人近くの客がずらりと座って壮観。後ろにテーブル席が5台、特注の白い「モンローチェア」も必見。

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 すりガラスが美しい廊下を越えて2階に上がると、寿司カウンター付の個室や接待用の大座敷もある。さてこの日はど満席、いつもにも増して賑やかな店内。もちろん私たちは今日も楽しい1階メインカウンター席、威勢のよい掛け声と御主人・山中啄夫氏の笑顔とおしゃべりが楽しい。

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livarot.gifまずはシャンパーニュ「モエ·エ·シャンドン(Moet&Chandon)」で乾杯し、いつものようにお任せの刺身からスタートする。ちなみにシャンパーニュは、このモエとヴーヴ・クリコしかないが、妻が「アンリオやボランジェも飲みたいな!絶対合うと思うわ」とわがままなリクエストを出していたから、次は増えていくかもしれない(笑)

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 博多らしい「アラ」は上質でふくやかな味わい。「平目の縁側」もとても美味で、コリッとした食感の後にねっとりした存在感を示す。「しめ鯖」は適度な締め具合で、穏やかな酸味が青魚の旨みを綺麗に引き出している。

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 「中トロ」はなかなかの脂身。聞くと築地からひいた250キロほどの大間の鮪という。仕入れ先の札まで見せてくれると客席に思わず笑いが起こる。このあたりのエンターテイメント性がやま中の真骨頂だろう。鮨も高価で蘊蓄を語る分野になったが、江戸時代、その発祥当時は立ち食い・早食いのファースト・フードにすぎなかった。楽しくなければ博多寿司でないというポリシーが好ましい。
 ちなみにこの「やま幸」は先日の築地「新年初競り」で、「銀座久兵衛」と香港「板前寿司」連合から依頼を受けて競りを行った仲買業者になる。ここ「やま中」は「久兵衛」とは交流しているというだけあって、何となく醸し出す空気に共通するものがある。

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鮨 すきやばし次郎、小野二郎氏を独占する贅の極!

livarot.gif宿泊先の「グランドハイアット東京」で、今夜行われる「ジョエル・ロブション来日パーティー」の準備をしている妻がいきなり思い立ったように言い出す、「ね~ね~今からすきやばし次郎の握りが食べた~い!ロブションと言えば二郎さんでしょ?!」。ロブション氏は来日する度に「すきやばし次郎 銀座本店」の鮨を食べに出向いているが、そのことが頭をよぎったらしい。

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 一度言い出したら聞かない妻なので、きゅうきょ電話を入れてみる・・すると何とか予約が入る。バタバタと銀座に向かい、11時30分の開店と同時に入店すると驚いたことに貸し切り状態。しかも小野二郎氏にマンツーマンで握って頂けるという思いもかけない展開になった。妻が横ではばからずキャーキャー言っている(笑) いつものようにお茶でお任せ(1人3万円)を頂く。

 「カレイ」のコリとした食感からスタート。「スミイカ」は一転してすべらかではかない食感。少なめのシャリとともにあっという間に口の中から消える。繊細な甘みが余韻に残る。「イナダ」、そして「赤身」「中トロ」「大トロ」とマグロ尽くしに続いて、「コハダ」。じゅんわりと酢がしみでてきて、余韻にはほんのかすかな点のような苦み、そのまわりに旨味が円を描くように広がる。

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 今回一番よかったのが「蒸し鮑」。ミルクのようなふわっとした香気が広がる。そのクリーミーで上品な海の香りに妻も「こんな鮑は初体験だわ♪」とつぶやく。
 鰺のイメージを越えた「アジ」。やや冷やし気味の身に軽く歯を立てると、いくつかのブロックにほどけ、そして溶けていく。余韻に残る風味は確かにアジなのだが、とても洗練されている。

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 「赤貝」、そして「イワシ」。これもイワシらしからぬ綺麗な味わい。イワシの身の奥にある旨味のエッセンスだけを抽出したかのような独特の味わい。余韻の残り香も印象的だ。そしてドーンと「すきやばし次郎」スペシャリテの一つ「車海老」。甲殻類の風味を感じつつ、弾力がありながら噛み締めがいのある身を口一杯にほうばって味わう。

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 「カツオ」も印象に残る。燻した香りがすばらしい。くどいわけではないが、しっかりと口の中から鼻に確実な存在感とともに抜けていく。余韻がとてつもなく長い。「ハマグリ」は見た目は厚みがないが、口のなかで抜群の存在感を見せてくる。トロリとしながらも決してクドクない甘めの煮詰めが、蛤の旨みと何とも言えないハーモニーを引き出す。

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 二郎氏はこちらの顔つきをちらりと見ながら、その食べるペースに合わせて握ってくれる。そのうち「あうんの呼吸」のように同じペースで時間が流れていく。「味が一個一個明確に違ってネタが引き立っているから、コース料理を食べてるみたいだわ」と妻もご満悦の様子だ。ここで「サバ」が登場。締め具合もよくこれもあっという間に消えていく。口元が自然に洗われる感じ。

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 そして「次郎本店」恒例の軍艦巻3連発だ。たっぷりこんもり盛られた「雲丹」は口のなかでソースのようにシャリと混じりあう。「コバシラ」「イクラ」は初めにぽーんとシャリの塩気を感じる。そこにそれぞれネタの特徴(コバシラのシャキシャキ感、イクラのねっとりした甘感)が海苔の風味と混じり合う。

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 「アナゴ」もツメの程よい甘さとともに渾然一体となる。一通り終わってさらに追加と「玉」。一息ついた頃二郎氏とロブション氏の話になる。「一昨日ロブションさんはに来られてましたよ」との事だった。日仏を代表するミシュラン3ツ星シェフが毎回どのような交流をしているのか興味をそそる。

 握り自体は、昼はよりも若干シャリを少なくしているのかもしれない。夜よりもスルスルと頂けた。また感心したのはシャリの大きさの微妙な変化。ネタの大きさ・食感に会わせて微調整しているようだ。口の中にとどまる時間はそれぞれ異なるのだが、ネタとシャリが一体となって消えていく残像は一緒なのである。

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 二郎氏の握り方は昔ほど超早ではなくなり、ゆっくりとしかし確実な所作を刻んでいる。長男・小野禎一さんがじっと握る手元を見つめているのも印象的だった。長年一緒に過ごした親子であっても永遠に師匠ということなのだろう。

 シャリの味わいはまろやかな酸味がたっていた。凝縮した旨み、煮詰めのトロリとした甘さ、上質なネタの味わいをカバーするにはこれ位の酸味があるからこそ、大きなバランスが取れるのだろう。
 シャリのほどけ具合も気にして見る方だが、二郎氏の握りは気が付くと(いつの間にか)ネタと混じり合っている。ほどけるのでもなく、はじけるのでもない。しっとりでもなく、ねっとりでもない。ネタと渾然一体となったそれは「完成した料理」というべきなのかもしれない。

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 最後はテーブル席に移り、いつものデザート「メロン」を頂く。壁に埋め込まれたショーケースには立派な白磁、これは有田焼人間国宝・井上萬二氏のご子息、井上康徳氏の作品だそうだ。
 そういえばカウンター横のショーケースは国宝級の器が並ぶ中に、9月にスペイン・バレンシアで行われた「お米国際会議(Congreso Mundial del Arroz y Homenage a la Paella)」のモニュメントも飾ってあった(日本代表として二郎氏が金賞受賞)。

 気がつくと12時を過ぎ、次々に客が入りカウンターは盛況を呈している。小野二郎氏は黙々と変わらず目の前の客に向き合い握り続けている。30分に凝縮された濃密で贅沢な時を過ごしたという満足感に包まれて「すきや橋 次郎 本店」を後にした。

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フォーシーズンズホテル香港「デラックススイート」、風水満載で運気アゲアゲ

millefeuille.gif何故かここ数年の海外旅行は「フォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツ(Four Seasons Hotels and Resorts)」グループに宿泊する事が多い。2008年は出来たばかりのイタリア「フォーシーズンズ・ホテル フィレンツェ」、2009年はフランス「フォーシーズンズ・ホテル ジョルジュ・サンク パリ」。そして今年がこの「フォーシーズンズ・ホテル 香港(香港四季酒店)」というわけだが、意識的ではなくクオリティ(あくまで個人的趣味)を検討していったらそうなっただけ。

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 さてその「フォーシーズンズ香港」、空港から30分強の香港島・中環にあるインターナショナル・ファイナンス・センター内にある。そのIFC(香港国際金融中心) と言えばつい先日まで香港1の高さを誇った全面ハーフミラー張り超高層ビル(88階)を思うのだが、実はかなりの巨大な建造物(エリア)で、2つの高層ビル「One ifc/Two ifc」と「IFCモール」と「フォーシーズンズ香港」で構成されている。
 設計はアルゼンチンの建築家シーザー・ペリ氏。彼と言えばNYの「ワールド・フィナンシャル・センター」や、
マンダリン・オリエンタル東京が入った「日本橋三井タワー」など高層ビルが得意ね。ちなみに「Two ifc」の最頂部はビクトリアピークの展望台とほぼ同じ高さらしいわ。

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 ここは香港の「金融街」、香港金融管理局や大手銀行・証券会社が多く入っている。香港駅の真上でフェリーターミナルもあり、エアポートエクスプレスのアクセスも良いので、外国人観光客や外資系ビジネスマンが多くみられる。よって「フォーシーズンズ香港」も欧米の客が多く、今世界中でありがちな「中国人団体観光客(大型バス)」は見かけなかった。

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 香港を代表するこの5ツ星ホテルは、2005年10月に完成した55階建てで350室程を有する。いわずもがなこのホテルには「龍景軒(Lung King Heen)」「カプリス(Caprice)」というミシュラン香港・3ツ星店が2つもある。今回の宿泊の本命は実はこのレストラン2店だったりするのだけどね。

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 ちなみに「エグゼクティブクラブ」は45階にあり、朝食と夕食の「ビュッフェ」、「アフタヌーンティー」「カクテル」、麺類などの「軽食」が用意されているが、(ここに限らず)上級スイートに宿泊するとわざわざ部屋から出る必要もないので、今回もまたそのラウンジを使う事はなかった。

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 さてその今回宿泊した部屋は「プレジデンシャルスイート(319m2)」「プレミアスイート(228m2/45000香港ドル)」に次ぐ、3番目のスイートの「デラックススイート(Deluxe Suite)」、150m2で1泊25000香港ドル(サービス料・税別)。

 41階の大きな窓からはヴィクトリア湾と対岸九龍の素晴らしい景色を一望でき、パワースポットからの「気」を存分に吸収できそうな迫力。しかも真正面に煌々と聳えたつのは、昨年できた九龍駅上にあるユニオンスクエアの「インターナショナル・コマース・センター(ICC/環球貿易廣場)」。

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 香港1の高さとなったこの超高層ビルICCには「ザ・リッツ・カールトン 香港・九龍」が入っていて、今一番香港で話題のスポットとなっている。118階という高さのガラス壁面はキラキラと日を受けて、夜はライトアップまでされて九龍側の主役を誇っている。でもね・・香港らしい景色は実は九龍側から、遠景こちら香港島側を眺める方が美しいのよ。(九龍側「ザ・ペニンシュラ香港」からの景色)

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 空港からホテルの送迎車「メルセデスベンツS350」で到着すると、玄関に黒い制服のスタッフ陣がザラザラと出てきて出迎えてくれる。そしてそのままフロントを横切り直接部屋へ案内。静かに部屋でのチェックインとなった。アメニティでお茶などが届くが、やはりまずはシャンパンで乾杯したい。

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博多 い津み、走りのフグと松茸三昧な秋の夜

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millefeuille.gif山口・下関市で9月26日、天然とらふぐの初競りが行われた。今年は豊漁で取引量も多く値段も落ち着き気味というわ。というわけで大好きなフグ(ふく)、早速河豚の名店「博多 い津み」に向かう事にする。博多の台所と言われる「柳橋連合市場」に程近い、「住吉神社」からつながる住吉橋のたもとにそれはある。黒を基調としコンクリート打ちっぱなしのシックな建物が印象的よ。

20111009itumi1 ちなみにこの「住吉神社」は日本三大住吉の一つで、あまり取り上げられない感じだけど実は全国に多数ある住吉神社の中で最も古く、古書には「住吉本社」「日本第一住吉宮」などと記されている貴重な神社なのよ。神社建築史上最古という「住吉造」も拝見できる。今週12日~14日は例大祭「相撲会」「流鏑馬」が賑やかに行われるわ。

livarot.gifいつものように2階に案内される。肌寒くなったとはいえ小春日和ということもあり、まだ時期的に客は少ないようだ。そのおかげで今日は「個室8番」。明るく広々として掘りごたつ式で、いつもの2人用の部屋より寛げる快適な部屋だ。

 窓の向こうには一階の庭が見下ろせる。ライトアップされたその庭で目につくのが、大きく無骨な感じの唐津焼「雷」。偶然そこに置かれる事になったらしいが、まるでこの雷さんの為に庭を造ったかのような様子だ。このミニチュア版が、庭前にある一階カウンター席に置いてあるのも面白い。

 さて、走りの天然トラフグを頂くことにする。選んだコースは「ふく松茸会席」9品で26250円。その他に「ふく松茸しゃぶ鍋コース」などもある。まずはシャンパーニュ「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ブリュット イエローラベル(Veuve Clicquot Ponsardin Brut)」で乾杯(15000円と高い値付け)、「前菜3種盛り合わせ」と共に頂く。

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 「白茄子と椎茸」「銀杏の白和え」「煮凝り」。い津みの煮こごりはふくよかでかなり濃厚、フグのエキス満喫という感じで好きだ。ヴーブクリコの爽やかな酸をまとったミネラルが心地よく調和する。河豚に限らず和食の前半と、シャンパーニュ(大手ネゴシアン・マニピュラン系かブラン・ド・ブラン)を合わせるのは我が家の定番。

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 続いて「松茸土瓶蒸し」が登場する。その香り豊かなお出しを頂くと、体が自然に秋の風情に満たされていくから不思議なものだ。蓋を取るとこれまた大きな「ハモ」「松茸」が姿を見せる。結ばれた湯葉は軽い食感とともに頂く。

 ちなみにこちらの器は軽めの京都・清水焼きが中心。有田焼き近くにあるのに勿体ない気もするのだが、実は博多の料亭は清水焼を多くみかける。秀吉が博多の区画を整理した当たりから京都とのつながりは浅くはない。

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「すきやばし次郎」六本木ヒルズ店、初秋を体感する極上江戸前鮨

livarot.gif京都に行くと日頃気付かない「四季」を感じるが、鮨も時期によっては「季節」を感じさせてくれる。9月は夏の「名残」を感じつつ、秋から冬にかけての「走り」が顔を見せるネタ的には楽しい時期だ。そんな9月の握りを堪能しようと「すきやばし次郎 六本木店」を再訪することにした。小野二郎氏の次男・隆士氏がご主人だ。

20110915sukiyabasi もちろんお任せでお願いする。「マコガレイ」からスタート。噛みしめる度にほのかな旨みが広がり、そこに煮キリ・シャリが混じり合い、一気に引き込まれていく。
 続く「コイカ」、この時期だけの「お楽しみのネタ」に遭遇できた。一杯で一貫握られる。ふんわりかすかではかない可憐さが何とも言えない。「常連さんも食べ損ねることがあって・・そんな時はたいそう悔しがられています」と言うことだ。得した気分だ(笑)

 鮪は「赤身」「中トロ」「大トロ」、日本海のものという。鮪はこれから冬にかけてが楽しみ。そして2枚付けの長崎の「シンコ」、鹿児島の「コハダ」と続く。「シンコもそろそろ終わりですね」とご主人。シンコ、コハダと味わいの差を感じられ、これまた得した気分になる。
 ここまでの7貫は概ね銀座「
すきやばし次郎 本店」と同じく、淡い白身から入り、鮪3貫で盛り上げ、そしてコハダで口元をしめるという流れ。この後の流れが「すきやばし次郎 本店」と異なり、また別の良さがあった。

 後半は「アカガイ」からスタート。少し大きく切りつけた冷やし目の温度の「アジ」は、アジらしくないアジらしさという一見矛盾した美味しさ。全く魚臭くなくキリッと噛み砕けていくのだが、残る余韻はまさにアジのピュアな旨みだけだ。
 そして軍艦巻の「イクラ」。「すきやばし次郎 本店」では軍艦は、穴子前の最後の3連発でしめるのだが、ここ「すきやばし次郎 六本木店」では、軍艦巻3貫を後半の流れの中に散りばめて変化をつけており、この流れがまた良かった。「このイクラを噛みしめていくと卵かけご飯のようでしょう」・・なるほど確かに噛もうとするとあっという間に溶けていき、海苔・シャリと混じり合うと卵のような風味が豊かに広がる。

 そして「車海老」。言うまでもなく「すきやばし次郎」のスペシャリテ。人肌で大きく、甲殻類の香りを豊かにたたえた車海老。シャリも少し多めに握られており、かなり満腹感を感じてくる。上品で高貴な海の香りをはなつ「ミルガイ」と続く。
 そして「ウニ」の軍艦から後半の山場がやってくる。これでもかとたっぷり盛られた北海道の雲丹に気分が盛り上がる。「先日もお酒を飲んでいるお客さんがこれを見て、上の雲丹だけつまんでいいですかと言われたんですが(笑)・・・ただサービスで盛ってるんじゃなくて、最後までシャリと絡み合う塩梅を計算してるんです」ということ。確かに最後のシャリ一粒まで雲丹といい加減で絡み合った。

 「カツオ」。燻した藁の薫香がこれみよがしにではなく、ほんのかすかに香る・・その加減が良い。この季節の1つの楽しみの戻りガツオを堪能できた。中秋の名月からひな祭りにかけて旬の「ハマグリ」。季節の走りの時期だが大振りで端正だ。トロリとした煮ツメとまさに渾然一体となる。久しぶりに「美形」な味わいのハマグリを頂いた。
 ご主人がにっこりと笑いながら、「今ハマグリの後、はじめてガリに手を出されましたよね。ちょうど次は、口元をさっぱりして頂こうと〆サバをご用意していたんですよ」と言われる。なるほど自分では気づかなかったが、ガリはかなり食べる方であるにもかかわらず、珍しくここまで手が伸びなかった。「もちろんガリも自由に食べて頂いて良いのですが、うちのはガリがなくても美味しく頂けるように流れを考えているんですよ」との事。

 「すきやばし次郎 本店」以来、「鮨の流れ・順番は、鮨のうまさの1つ」という考えがある意味定着しているが、久しぶりに流れにポリシーを感じ、それが客側にもダイレクトに伝わってくる「お任せ」だった。
 「雲丹軍艦」から「カツオ」「ハマグリ」でどんどんと盛り上げ、走りの時期の「サバ」でキュッとしめ、最後の軍艦「コバシラ」で爽やかな海の香りをさっぱりと堪能する。そしてとろけるような「アナゴ」に、デザートのような「タマゴ」で一通りとなった。

 コースの余韻を感じつつ「アワビ」を追加、夏が旬の鮑も名残りの時期を迎えつつある。「ハマグリ」と「煮アワビ」を両方楽しめるのはこの時期ならではの贅沢さ。口の粘膜に吸い付くような海の恵みとでもいうべき旨みをシャリとともに楽しんだ。「コハダ」をもう1つ頂き、締めの巻物は「アナキュウ」を所望する。とろりとクリーミーな穴子が、爽やかな胡瓜を引き立て、主客逆転した味わいの妙が何とも良かった。

 握りの形は綺麗に整っていて(やや長方形で「鮨 水谷」に近いかもしれない)、口の中でほのかな温かさを醸し出しながら、ゴクゴク自然にほどけていく。ネタのきれ具合・旨みとシャリのバランスがとても良い。
 なるべく同じものがかぶらないよう、そして温度差、食感差、味わいにバリエーションを感じさせる流れ。「定番」と「季節」の上質なネタを飽きることなく最後まで堪能し、久しぶりに「うまい鮨」を心ゆくまで楽しめた。ちなみに45分で1人2万9000円(夜・酒なし・追加含む)だが個人的には十分満足できた。

 毅然とした職人の店であるが、どこか穏やかで居心地の良い空気も流れている。笑顔も交えながら色々と説明してくれるから、「つまみと酒」派ではない「握り鮨」派は楽しいだろう。「次郎は食べてみたいが本店の空気は敷居が高い」という向きはここ六本木店で楽しむと良いかもしれない。

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寿司割烹「やま中」本店、初秋を満喫するエンターテメントな夜

20110914yamanaka2millefeuille.gif先日京都へ向かう際新幹線に乗り込む前に、博多駅構内の売店「寿司 やま中」で買ったのは「たく寿司」とガリ「芽しょうが」。その「芽しょうが」を食べてから「やま中 本店」に行きたいなと思っていた。(春訪問はこちら)

 今福岡で話題のお寿司屋と言えばこの「寿司割烹 やま中」。駅構内「いっぴん通り」だけでなくJR博多シティ「くうてん」にも出店していて、他にホテルなどに支店もいくつかあるが、なんと言ってもやはり薬院の「やま中 本店」に行きたい。客層も福岡の財界人・著名人をはじめスポーツ界の重鎮など華やか、この日は某九州最大の博物館館長の一行も見かけたわ。

 やはり本店は何より美しい近代建築。御主人・山中啄夫氏と懇意の建築家・磯崎新氏の設計。打ちっぱなしのコンクリートにガラス張り、天井高で広い店内は贅沢な造りで一見の価値あり。
 ガラスとコンクリートの中に融合する自然素材・・朱塗りの壁に浮かぶ雲型の和照明に、白く輝くカウンターは樹齢800年の木曽檜一枚板(何と20人掛け!)。テーブル席には磯崎新氏代表作「モンローチェア」、しかも特注サイズの特別色。

 さて、私はシャンパーニュ「ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)」、主人は日本酒で福井の「黒龍」純米で乾杯。いつものようにお任せで刺身から出してもらう。

20110914yamanaka3 「アラ」「平目の縁側」「トロ」「ハモ」「ウニ」と来て、「カワハギ」はふわふわの肝と一緒に頂く。繊細で臭みがなく爽やかな風味とっても美味しい。分厚く切った「戻り鰹」のタタキは生姜にんにくが効いていて、上にはふんわり唐墨を振りかけるなど綺麗に仕上げている。

 うちの主人は次の日本酒へ移行、知る人ぞ知る山口の「獺祭(だっさい)」をチョイス。主人曰く「ほのかに樽の香りを感じる・・味わいに濁りはなく澄んでいるが軽やかな存在感がある」との事。なるほど料理との接点も多そう。

 これはまたぷっくり肉厚の「煮鮑」が合うはず、柚子味噌の風味が更に甘味を引き出してとっても美味しい一品だったわ。そう、8時間掛けた「イワシの煮付」も味の染み加減が絶妙だった。

 もう店に入った時から気になって仕方なかった「秋の味覚」たち。カウンターやネタケースに所狭しと色々並べられているんだもの。その中でも特に目を引くのが中国産の特大「松茸」の山。早速目の前で炭火で焼いてもらうわ♪

 香りも楽しんで貰いたいと大きな縁起団扇も登場する。秋の香りが辺りに立ち込めるの。おろしたれも供せられるが、塩も振ってあるし酢橘を絞りかけて食べるのが一番美味。う~ん、なんだかこの賑やかな雰囲気と秋素材が食欲をそそるのか、どれもこれも食べてみたくなる(笑)

20110914yamanaka1 という訳で主人を余所に単独で玄海の「蟹」も注文。きれいに食べやすく身をほぐしてくれていて、甘酢で頂く・・味噌も堪能して満足。
 更に!また甘く焦げたような香ばしさが漂って来る・・これはもしや「鰻」の蒲焼。いつもは博多らしくパリパリに皮目を焼いた白焼きで頂くとこだが、この臭いには負けた、蒲焼で頂く。「栗」のチップスも秋らしくいいわ。

 とても寿司屋とは思えない豪華ラインナップ、さすがにかなり満腹で私はとても「握り」までは無理だわ・・という事で、主人単独で「握り」に突入。さてここへ来て主人は日本酒3種類目、今話題の佐賀「鍋島」大吟醸よ。
 つい先日、世界最大級のワイン品評会(IWC)で、日本酒部門・最優秀賞「チャンピオン・サケ」に選ばれたこの「鍋島 大吟醸」、お蔭で急激に品薄になっているとか。ちなみに前回飲んだ隠し酒「裏 鍋島」はもう作られてないとの事。

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銀座「ほかけ」、昔ながらの江戸前鮨と秋の気配

20110908hokake1livarot.gif残暑は厳しいとはいえ秋風も少し感じるここ数日。お昼に一人ふらっと銀座4丁目、久しぶりに「御寿司處 ほかけ」を訪れてみる(去年秋)。
 白くはためく暖簾をくぐると、まだ新しさを感じる小奇麗な店内。木曽檜一枚板のカウンター(9席)と奥に小上がり(4人)がある。昼に伺うとゆっくりしてることも多いのだが、この日は常連らしいご年配でほぼ満席だった。

 今回もお任せでお願いする。「シンイカ」はカリッとした歯ごたえの後に、仄かな甘さがゆっくり広がる・・スタートにはぴったりだ。肉厚のある「コハダ」を噛み締めると昔ながらの鮨に感じられる、あの少し強めの酢の風味が染み出す。「マコガレイ」はまずまずの旨み、「アジ」も中庸なまとめ具合だ。

 続いてご主人が「さてこれはどうですか?」と言わんばかりの顔付きで、黙ってそれを出してきた。かなり分厚いが柔らかな脂とともに口の中でほどけ溶けていく。それの可憐でありながらふくよな存在感に、思わず「美味しいですね!」と口に出すと、「良いでしょう?!サンマなんですよ」とにこやかにご主人。

 「コアジ」「イワシ」と続いて終盤はマグロ。大間の「赤身」「中トロ」を頂く。まだ薄い脂で大間らしい片鱗はないものの、お昼に軽く頂く鮪としては、その爽やかさがかえって満足。
 「タイラガイ」はとてつもなく大きい。軽く歯を立てると自然にほぐれて小ブロックに分かれていく感じ。余韻には穏やかな波のように海の微かな風味が残る。

20110908hokake2 「シンイカゲソ」で新いかの余韻を楽しみ、「アナゴ」は柔らかく昔ながらの江戸前らしい1品。「玉」はほのかな甘さでデザートのよう。
 本日特に良かった「サンマ」、そして「コハダ」を追加し、最後は「かんぴょう巻き」で締める。「海老」などがなく少し偏りのあるラインナップだった為か、15000円程度といつもよりも安めだった。

 現代鮨の最先端をいくネタ・シャリではないが、昔ながらの寿司を食したい時には頭に浮かぶ江戸前鮨屋の1つ。昭和12年開業の「銀座 ほかけ」。3代目にあたるご主人・矢崎桂氏も40年近くここ「ほかけ」で黙々と握り続けてきた。「鮨とは食べ手を食べるもの」という格言には、握り手が握ってきた時間からくる「人間としての包容力」も含まれるのだろう、そんなことを感じさせる鮨屋である。
 今回も慌ただしい喧騒から離れた、独特の風雅なひと時を過ごすことができた。

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JR博多駅と「さくら 新800系」、そして「やま中」

20110822yamanakamillefeuille.gif盆過ぎてまだまだ暑いと思いきや、急に秋の気配感じるこの日。色んな行事を終えて少し落ちついたであろう京都に向かう為にJR博多駅に行く。盆休みは終わったはずだがまだまだ夏休み期間、若者の集団や子連れ家族で駅はごった返していた。そして節電の影響でか構内は暑い・・蒸し風呂のよう。

 新幹線といえばやはりお弁当。私はJRが経営している「トランドール」でサンドイッチなど、そして主人は改札口近くの「いっぴん通り」へ。ここは全国450店の申込みから20店が選ばれてそこに並んでいるわ。九州の名店が所狭しと連なり、お土産を選ぶにはとても便利。今日は、その中から寿司割烹「やま中」で弁当を買う事にする。

 薬院にある寿司割烹「やま中」本店には良く行くが、惣菜・弁当系は初めて。「ちらし寿司」1575円がウリらしいが、ふつうに巻き寿司などの「たく寿司」1050円と瓶詰めのガリ「芽しょうが」735円を購入。特にこの「芽しょうが」は本店そのままの味なので、食べると本店に行きたくなった(笑)
 ちなみに「にぎり寿司」は、すぐ近くのセントラーザ支店から注文後にわざわざ握るらしいので、20分位は待つということ。ふ~ん、次は試してみてもいいかも?

20110822tubame さて、構内はかえって暑いかなぁ?というので早めにホームに上がってみる。この日乗る山陽新幹線「のぞみ」クリーン車両前、ふと振り返るとお向かいのホームには、逆方向に出発寸前のつばめ「新800系」がいる!しかもちょうど最後部で顔が見える位置。

 そう、九州新幹線全線開業に合わせて登場した「新800系」。これは以前乗った新大阪から繋がる山陽・九州新幹線直通列車「さくら」ではない、博多発着6両編成の九州新幹線「さくら」だったのでチェック♪
 車両には従来の筆書き「つばめ」ではなく、つばめをイメージとするロゴデザインになった。それに先頭車の運転側にも800表示のシンプルなロゴが出来てるわ。ちなみに写真の5号車は、新たに多目的室・車販準備室が設置された為、窓が1箇所閉塞されているのよね?その部分にも新ロゴ。

 従来の「つばめ」も全国的にも優れたデザインと技術で定評があるが、この新800系では更にグレードアップ、壁には金箔なども施し、漆工や博多織のディスプレイに多種のシートデザインも美しい。鹿児島に行くのは実は面倒で遠かったが、これでかなり楽に行き来できるような気。
 それを見送りつつ私達は山陽新幹線「のぞみ」に乗り込み、お天気の悪い中夏の疲れを癒しに「いつもの京都」へ旅立った。

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鮨 安吉、博多で味わう技なる江戸前寿司 de 夏

20110814yasukiti1livarot.gif今年春に「JR博多シティ」が開業した事で、お盆の季節はこの博多駅界隈が賑やかな様子。この夜は久しぶりに「鮨 安吉」に出向く。「ANAクラウンプラザホテル福岡」に程近い、住吉通りから1本入った路地沿いにひっそり佇む、一軒家構えの江戸前鮨だ。

 開業当時訪問した時には無かった立派な引き戸の門。暖簾ではなく表札が風情ある。石畳少し入ると改めて玄関、磨き上げられた7人用のカウンターが浮かび上がる美しい空間が広がる。玄関入ってすぐの右側には、4名用の小上がり(個室)もある。

 以前は煌々とした照明だったが、やや抑えめの暖か味ある照明になっていて落ち着く。少し高めの椅子・・目を上げると、九州では1・2人の職人しか出来ないと言われる高い技術の「網代天井」が印象的だ。

 カウンターの中には若きご主人・椎屋安彦氏と、東京からの若い職人の二人。すっきりしたネタケースやつけ場周りも美しく、チームワーク良くテキパキとした仕事ぶりも好印象だ。テンポよく出てくる「おつまみ」を、まずはお勧めの冷酒と共に味わうことにする。

 ずっしりと重みのある錫の酒器や箸置き、おしぼりトレイにコースターまで全て、京都「清課堂」の物。銀座「鮨 水谷」でも使われている。夏らしく涼しげで、何よりキンキンに冷えた日本酒が美味しい季節だ。

20110814yasukiti2 「京都には時々行きますので選んできました。その他の器は九州もの・・有田焼や唐津焼を中心に好きなものを買い揃えています」と椎屋氏。なるほど、シックで上質な器が揃っていてセンスが良い。
 最初の冷酒は広島「宝剣」、キレある味わいにほのかな甘みで食前酒的に楽しめる。妻も「食前酒みたいで美味しいわね~」といつもよりハイピッチだ。

 まず出てきたのは「茹でた真蛸」に好みで塩をつけて。続いて「鰹の漬け」は乗せられた和辛子がアクセント。そして細かい仕事の「鯖の棒寿司」はまろやかな甘味と風味。妻が気に入っていた。どれも一口で楽しめるツマミは味わいの変化も楽しく酒がすすむ。
 小皿類は「
鮨処 つく田」や「銀すし」でお馴染みの、銀座「あら輝」でも使われていた唐津の中里氏「隆太窯」の物。

 さらに続いて、皮目だけさっと炙った「新サンマ」は秋の風味が口の中に広がり美味だ。添えられたワタが秋刀魚の味わいを増幅させてくれる。そして福岡ならではの「おきうと」も少量出て口元をさっぱりさせた後には「アラの肝」が登場する。

 次の日本酒は静岡「正雪」、しっとり綺麗な味わいでよりすっきりした飲み口だ。これは「子持ちのヤリイカ」や「イワシ」とともに。そこへ「鱧子」が登場する、塩辛にして表面をさっと焼いたものだ。ネットリした味わいの奥のかすかにプツプツした食感が何ともクセになる。これこそ酒のアテにはぴったりだろう。

20110814yasukiti3 醤油漬けの「生シャコ」のネットリした味わいを添えられたツメのほのかな甘みとともに楽しむ・・九州ならではの酒肴だ。
 「あん肝とスイカの奈良漬け」も抜群に良かった。「あん肝」は裏ごししてパテのように仕上げたという。スイカの奈良漬けのアクセントも効いていて思わずワインを欲するなあと内心思っていると、横では妻が「肝のムースみたいでクリーミーね!フレンチっぽいわ」と満足気に言う(笑)

 つまみの最後には、細やかな江戸前らしい仕事ぶりの「イカの印籠詰め」。工夫した多彩なおつまみ達は流れもよく楽しいものだ。甘味や酸味を活かしくっきりした輪郭の味付けなので日本酒とも相性良く、ここは酒好きに向いている寿司屋と言える。

 3種類目の日本酒、福島の「飛露喜」に移った頃、お待ちかねの「握り」が「ひらまさ」からスタートする。丸い個性的なつけ台は、佐賀の小川氏「北山窯」で、しかも特別に焼いてもらったものだという。
 「ヤリイカ」はほのかな甘みがシャリと混じり合う。「鰆」は昆布締めで。軽妙な締め方が赤酢の風味と一体となり仄かな色気を感じさせる。「かすご」も春子の繊細な特徴を上手に引き出している。

 季節の「シンコ」は2枚付けで。出だしは8枚付けだったというからさぞ手間がかかったことだろう。穏やかな酢加減が新子の可憐さをうまく表現して、夏らしい味わい。更に「アジ」と続いていく。

 米酢と赤酢と半々で合わせるというシャリは、酢が利いていて塩ともバランスが良い。肩の力を抜いて軽く握っているのだが、形はきっちり整っていている。ほんの気持ちだけ芯を残したようなシャリはさらりと口の中でほどけ、小さめのネタとバランス良く口の中でハーモニーを演じる。味わいがいのある色気漂うシャリだろう。

20110814yasukiti4 更に鳥取・境の「マグロの漬け」は鮪の旨み・酸味が綺麗に引き出されている。妻が思わず「今のヅケ、すごく美味しい~♪」と声を上げると、「自分もヅケは好きなんですよ。酸がありますよね」と嬉しそうに椎屋氏。「大トロ」は赤酢だけのシャリで握られる。赤酢の強い酸味・風味がトロと相性がよく活きていた。

 そして唐津の「ウニ」、甘みや少し感じる苦みにコクが赤酢のシャリととても合う。「車海老」まで赤酢のみで握られて、「ハマグリ」で最初のシャリに戻る。蛤の香気が上手に引き出されていて満足だった。
 更に蛤のスープも供される、この器も唐津の「隆太窯」のもの。ついでに言うと、化粧室の洗面台は長崎の「波佐見焼」だ。

 最後の日本酒は山形の「楯野川」、かなり飲んでいるな(笑) 「アナゴ」はかすかな食感を残したふんわりとした味わいでかなり好きな部類。「ん??ここは福岡かぁ、東京で食べてる気分ね」と妻。趣味の良いこだわり感じる空間の中で、ご主人の物静かな接客も上品で好ましく落ち着いて食事ができた。そういった意味でデートにも向いている。

 九州では最も「江戸前らしい」、つまり「東京水準の握り」とも言える。真面目に鮨に向き合い勤勉に努力された成果だろう、ここ数年の間に格段に美味しくなっていた。ご主人はまだ30歳前半であるから今後10年間さらなる進化が楽しめそう。その意味でも通いがいのある鮨屋だろう。

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